F1の技術イラストレーターとして知られるジョルジオ・ピオラが、フェラーリの2015年型車SF15-Tを高く評価している。
技術イラストレーターとしてこれまで何百回とF1レースを見てきたピオラは、今年のフェラーリにおいて最大の進歩が見られるのはパワーユニット関連だと見ている。
「クルマは全体的によくなったように見えるし、基本的な欠陥も解決されている」
フィンランドの『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』にそう語ったピオラは、昨年のフェラーリのエンジンは、クルマの空力効果を頭に置いて設計されていたが、その結果としてパワー不足や、エネルギー回生システムやターボを効率的に機能させられないという欠点が生じていたと指摘している。
「この部分が修正されているし、今後はほとんどのライバルたちと同じような処理が施されている」とピオラは付け加えた。
ピオラは、フェラーリのチーム代表がステファノ・ドメニカリからマルコ・マティアッチに変わるという混乱を抱えていたフェラーリが、昨年の最終戦以降は新チーム代表のマウリツィオ・アリバベーネによって統率されるようになったこともいい影響を生んだ要素となったのではないかと見ている。
ピオラは、昨年のフェラーリは「統制不足による混乱を生じていたようだった」と語り、次のように続けた。
「ジャン・トッド(現FIA会長)は優れた統率力を持っていた。そして、今のセルジオ・マルキオンネ(フェラーリ会長)とマウリツィオ・アリバベーネも強いリーダーだと思うよ」
さらに、ピオラはドライバーラインアップが再編成されたこともフェラーリにとっては追い風になるだろうと考えている。ピオラに言わせれば、昨年のキミ・ライコネンとフェルナンド・アロンソ(現マクラーレン)はドライビングスタイルがかなり違っていたためだ。
「今年は、キミとセバスチャン・ベッテルのスタイルはかなりよく似ているし、そうなるとクルマの開発もすべて同じ方向性で進めることができるからね」
また、フェラーリはフロントサスペンションにも改良を施したようだ。ピオラは、昨年ライコネンがシーズンを通じてクルマのハンドリングに悩まされていたが、その問題を解決することは2014年型車のレイアウトでは難しかったと語り、次のように続けた。
「フェラーリの独特なプルロッド・サスペンションは適応するのが難しいんだ。だが、新車ではこの部分も改善されている」
今季のフェラーリはかなり改善されてはいると語ったピオラ。だが、そのピオラもフェラーリがメルセデスAMGに追いつくことはまだ難しいだろうと見ている。
「もちろん、メルセデスAMGのほうが強いことは分かっているよ。どれほどの差があるかって? 冬のテストの間にそれを知るのは不可能だね」とピオラは結んでいる。