ホンダのF1プロジェクト責任者である新井康久(本田技術研究所専務執行役員)が、現時点ではまだ今後ほかのF1チームにエンジンを供給する予定がないことを認めたと報じられている。
2008年までワークスチームをF1に送り込んでいたホンダは、今年7年ぶりにエンジンサプライヤーとしてF1復帰を果たす。ホンダとしては、2015年はマクラーレンにワークスエンジンの供給を行うのみで、ほかのチームにエンジンを供給する予定はないことを明らかにしていた。
だが、ホンダでは2016年以降に関しては、ほかの顧客チームにエンジンを供給する可能性を否定していなかった。
およそ1年前、新井は次のように語っていた。
「もしほかのチームで我々のエンジンやパワーユニットを使いたいところがあれば、2016年以降であれば供給することが可能だ」
だが、それから1年たった今、ホンダは2015年シーズンに向け、恒常的なトラブルを抱えながら、し烈な準備活動に追われている。
新井は、『F1i.com』に対し、ここまでのテストは「モグラたたきゲーム」のような状態だと認めている。ひとつの問題をつぶしたかと思うとすぐに「次のモグラが顔を出してしまう」のだ。
こうした状況では、当然ながら、2016年の新たな顧客開拓は後回しにするしかない。
「(ホンダエンジンを搭載する)2つめのチームのチームとなりたいという申し出はどこからも受けていない」
そう認めた新井は、次のように付け加えた。
「恐らく、それは彼らがホンダに対して、まだ何か謎めいているという印象を持っているからだろう」
新井が言わんとするところは、初期トラブルに悩まされている状況のもと、ホンダエンジンの本当のパフォーマンスに関しては未知数だと受け止められているということだろう。だが、先週のバルセロナでのテストでは、そのホンダに進展の兆候が見られていたのも事実だ。
新井も、ホンダはまさにこれから将来の顧客候補チームに向けて「少しばかり我々の能力や感触のよさ」を示し始めることになると認めている。しかし、2016年からホンダエンジン搭載チームが増える可能性は、少なくとも現時点ではそれほど高くないようだ。
「だが、それは非常に難しい問題だ」と続けた新井は、次のように付け加えた。
「今シーズンの間に、2つめのチームに供給するための準備ができるかどうかは疑問に感じているところだし、まだ分からない」