2015年シーズン開幕前に予定されていた3回の公式テストのうち、すでに2回が終了。いよいよ今週木曜日(26日)からバルセロナで最後のシーズン前テストが行われ、その後各チームは開幕戦オーストラリアGP(3月15日決勝)が開催されるメルボルンへと向かうことになる。
ヘレスとバルセロナでこれまでに行われた2回のテストではフェラーリが印象的な走りを見せる一方、2014年のチャンピオンチームであるメルセデスAMGはいまだその本当の実力を示しているようには見えない。だが、多くの関係者が、メルセデスAMGはここまで真の実力を隠すために、燃料を多く搭載するか、パワーを抑え気味にして走行をしていたに違いないと考えている。
今季からフェラーリの赤いF1カーを駆ることとなったセバスチャン・ベッテルは、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、「1年のこの時期にはどこも(本当の力を)隠していると思うよ」と語っている。
だが、常に率直な物言いをすることで知られているニキ・ラウダ(メルセデスAMG/非常勤会長)は、そうしたかけひきを好まない。
かつて3度F1チャンピオンに輝いた伝説的元F1ドライバーでもあるラウダは、スイスの『Blick(ブリック)』に次のように語った。
「チームに、最後には懸命にやることを求めたよ」
「我々も全員が自分たちがどういう位置にいるかを知りたいと思っているからね」
バルセロナでの最初のテストが終わった22日(日)には、誰もがメルセデスAMGの2015年型車W06が今季もタイトルを守る実力を秘めていることを感じ取ったのは間違いないだろう。
22日に最速タイムを刻んだのはロータスのロマン・グロージャンだった。だが、グロージャンはピレリから供給されたタイヤのうち最も軟らかめのコンパウンドのタイヤでそのタイムを出していた。
一方で、そのグロージャンのタイムに対し、ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)が出したコンマ3秒遅れの2番手タイムは、2番目に硬いミディアムタイヤで出したものだ。仮に、ロズベルグがグロージャンと同じスーパーソフトタイヤを装着していたら、いったいどれほどのタイムが出ていたのか考えるだけで恐ろしくなりそうだ。
ブラジルのケーブルテレビ局『SporTV(スポルティービー)』で解説者を務めるファビオ・セイシャスは、「ピレリでは異なるコンパウンドによるタイム差は1周につき2秒ほどだと見積もっている」と語っている。
だが、目を見張るようなタイムを出してみせたロズベルグ自身は、メルセデスAMGが「強い位置にいる」と認めるにとどまっている。
ロズベルグはさらに、スーパーソフトタイヤを履いたグロージャンに迫るタイムを出したことに関しても、それだけで「素晴らしい」ものだとは言えないとし、「ほかの日のタイムに関して、自分たちのタイムと比較できるわけじゃないからね」と付け加えた。
ひょっとすると、ロズベルグはここまで驚くほどのペースと一貫性を示しているフェラーリのことが頭にあったのかもしれない。
ベッテルは、「僕たちのペースはよさそうだ。それにもっとクルマを強くできるはずだ」と語り、次のように続けた。
「キミ(ライコネン/チームメート)によれば、このクルマは昨年のものよりかなりよくなっているようだ。だけど、メルセデスAMGがまだ最強だと思うよ」
2015年のF1シーズン開幕に向け、各チームは今週のシーズン前最後のテストに集中することになる。そして、そこでは全体の勢力図がより明確に現れてくることになりそうだ。
先週、フェラーリの新チーム代表であるマウリツィオ・アリバベーネはイタリアのテレビ局『Sky(スカイ)』に、「オーストラリアに行くのが待ちきれないよ。なぜって、ここは寒いからね」というジョークを交えながら、次のようなコメントを行っていた。
「来週のバルセロナでのテストは、天候さえよければ、どこも全力で取り組んでくるだろう。そして、すべてのチームの力量がどれほどなのかということも分かってくるはずだ」
「誰もがそれを知りたいと強く望んでいる。だが、現時点では我々は自分たちのプログラムに沿っているし、比較することは避けているんだ。様子を見ることにしよう」とアリバベーネは付け加えた。