F1がシーズン中のドライバーヘルメットのデザインを変更することを禁止したと報じられている。
18日(水)にドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』と『Reuters(ロイター通信)』が伝えたところによれば、F1ドライバーたちは今シーズンの最初から最後まで同じデザインのヘルメットを使用しなくてはならないことになるという。
ドイツ人記者のトビアス・グルーナーによれば、これはF1最高責任者であるバーニー・エクレストンが提案したもので、17日(火)に行われたF1委員会の会議において統括団体であるFIA(国際自動車連盟)やチーム代表たちがこれに賛成したとされている。
グルーナーは、これにより「自由に見た目を変えたり、何か特別な機会に奇抜なヘルメットを制作したりすることができた日々は終わりを告げることになる」としている。
最近では、シーズン中に複数のヘルメットデザインを使うという傾向が増加してきているが、今回の決定によりファンや観客にとってはドライバーを見分けやすくなることは間違いないだろう。
これまで、かつてアイルトン・セナが使っていた黄色のヘルメットや、デーモン・ヒルが用いていたロンドン・ローイング・クラブ(ボート競技クラブ)のデザインなど、一目でそのドライバーだと認識できる象徴的なヘルメットが減りつつあることを嘆く声も多く聞かれるようになっていた。
2010年から2013年まで4年連続でF1チャンピオンとなったセバスチャン・ベッテル(フェラーリ/当時はレッドブル)などは、ひんぱんにヘルメットデザインを変えることで知られており、これについて批判的な意見があったのも事実だ。
だが、ソーシャルメディアでの初期反応を見ると、今回のデザイン変更禁止決定に関してはあまり積極的に歓迎されてはいないようだ。
元F1ドライバーのアレックス・ブルツは、自身のツイッターに次のようにツイートしている。
「僕も一貫性があるほうが好きだ。でも冗談きついね! 次は何だろう? 髪型にもルールができるのかな?」
グルーナーもこれに同意見のようだ。
「重要な議案に対しては、F1は合意できなかった。だが、これに関しては、何も問題など存在していないところに新たなルールを作ってしまったのだ」とグルーナー。
さらに、ドイツの『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』の記者であるビアンカ・ガーロフも皮肉を込めて「ねえ、FIAとF1さん、他に取り組むべき問題はないの? OMG(オー・マイ・ゴッド)」と書けば、元F1ドライバーで現在はWEC(世界耐久選手権)で活躍するマーク・ウェバーも「こんなことよりもっと大きな問題があるだろう」と不満を表している。
これまでは、ドライバーがチャリティー活動の一環として、オークションに出すためにファンにデザインを募集して一度だけ使用するヘルメットを制作するようなケースもあった。小林可夢偉も2011年(当時ザウバー)の最終戦に東日本大震災の復興チャリティー用特製ヘルメットを使用していたことも日本のファンにとっては強く記憶に残っているところだ。
だがグルーナーは、今回の決定によってこうしたことも今後はできなくなるだろうと続け、最後に次のように付け加えている。
「もしドライバーたちがこの新しいルールに違反した場合、どういう罰則が適用されることになるのかはまだ不明だ」