ウィリアムズに移籍して復調を遂げたフェリペ・マッサ。以前に所属していたフェラーリより「落ち着いた」環境が一役買っているのかもしれない。
振り返れば2008年、彼はタイトルを賭けてルイス・ハミルトン(当時マクラーレン)と激しいバトルを繰り広げた。だが翌年のハンガリーGP予選で事故に遭い、あやうく命を落としかけた。
2010年に実戦復帰するも、マッサがスペイン『El Confidencial(コンフィデンシアル)』紙に打ち明けたように、レース人生「最悪」の大スランプに突入するのだった。
■スランプからの復活
「皆、口々にいったよ。”なるほど、そうかフェリペ、大変だったな”」と当時を振り返るのは、ウィリアムズの技術責任者パット・シモンズだ。
「ウィリアムズで彼(マッサ)は生き返った、そんな気がする」と、F1公式サイトに語ったシモンズ。昨年末の走りっぷりは「近年のフェリペらしくない」ものだった。
僚友フェルナンド・アロンソ(当時フェラーリ)のじゅ縛に苦しんでいたマッサ。復調の原因は何だろう?何人かは、静かな環境を理由に上げている。
■ウィリアムズでの新たな人生
「たしかにウィリアムズでは、より落ち着いて過ごせるね。間違いない」と33歳にしてF1優勝11回のマッサ。
「フェラーリでは必死に働かないとやって行けないが、ここでのレース人生は、よりシンプルだ」
「レース以外のことは何も考えなくていい。その他もろもろは、大した意味を持たない。マシンをよくしよう、レースについて考えよう、頭の中はそれだけだ」
「フェラーリはすばらしいよ。強くて偉大なチームだ。それに美しい。ところが、プレッシャーがものすごい。さほど重要でもないことが、これでもかと一度に押し寄せてくる」
「ここ(ウィリアムズ)で重要なのは、レーシングドライバーの本分だけだ」
■フェラーリのプレッシャー、そして今後
最近のフェラーリで苦しんだのは自分ばかりではない、そう話すマッサ。
「いちばんの問題はメンタルだった」と当時を振り返る。
「しばらく悩み抜いたよ。だが結果的に立ち直って、内面がより強くなった。それに、キミ(ライコネン)のほうが僕よりよっぽど苦しんでいると話す人もいるよ」
「フェラーリも、僕より重症の人間を抱えて、たいへんだな」
2014年のウィリアムズは、僚友バルテリ・ボッタスとマッサが大活躍だった。今年は、可能なら優勝とタイトル争いがしたいとマッサはいう。
「僕の願望だけどね」
「可能性はある。ただ、マシンはまだ出来上がったばかりだし、ライバルたちを監視しなければならない。誰かが画期的なマシンを造らないとも限らないからね」
「わがチームの仕事ぶりや考え方から、優勝争いはおろか、選手権だって狙えるかもしれない」とマッサはいうのだった。