2016年シーズンからF1に新規参入することが決まっているアメリカのハースF1チームだが、ドライバーとの契約に関しては慌てる必要はないと考えているようだ。
ハースF1のオーナーであるジーン・ハースは、チーム代表を務めるギュンター・シュタイナーとともに今季最初のF1公式シーズン前テストが行われているスペインのヘレスへ視察に訪れている。これはもちろん、1年後に控えたF1デビューに備えた準備活動の一環だ。
ハースは、フランスのウェブサイト『F1i.com』に対し、2016年に向けた準備は「うまく進んでいる」と語り、次のように続けた。
■フェラーリの順調な出だしをよろこぶハース
「我々はフェラーリの招待を受けてここにやってきたんだが、ここで目にしていることは好ましいと認めざるを得ないね」
2016年にはフェラーリからV6パワーユニットの供給をはじめ、さまざまな技術指導なども受けることが決まっているハースは、フェラーリのセバスチャン・ベッテルが初日と2日目に安定した走行を見せ、連続でトップタイムを刻んだことに勇気づけられたようだ。
「SF15-T(フェラーリ2015年型車)はうまく造り上げられたようだ。我々はフェラーリから多くのシステム供給を受けることになっているからね」
「FIA(F1統括団体である国際自動車連盟)は2016年に向けていくつかのルールを緩和したし、我々はそれを最大限に生かしたいと思っている」
■マルシャ買収の報道は見当違い
そう語ったハースは、さらに最近報じられていたいくつかのうわさに関しても次のように続けた。
「いろいろ報道されていたものの、我々はマルシャを買収したりしていないし、2015年型シャシーに関する知的所有権を取得したりもしていないよ」
「我々はバンベリーにあるファクトリーを入手しただけなんだ。今では混乱を避けるためにハース・ビルディングと呼ばれているがね」
アメリカのノースカロライナに本部を構えるNASCARチームの共同オーナーでもあるハースは、F1ドライバー用のシミュレーターも購入したことを付け加えるとともに、2016年型車の製造に向けてイタリアのシャシーメーカーであるダラーラと作業を開始したことも認めている。そのシャシーは、技術パートナーであるフェラーリのマラネロ本部にある風洞でテストが行われることになるという。
■ハースのF1プロジェクトは順調に進展
「我々は実用主義的なアプローチをとっている。非常にアメリカ的だし、予算管理の面においてはヨーロッパ方式よりももっと効果的だと思うよ」
「12月にはクルマのシェイクダウン(走行試験)を行いたいと考えているが、ちょうど1年後のシーズン前テスト以前に公式にサーキットで走らせる予定にはしていない」
「ここまでのところは、文字通りプログラムに沿って進めているし、予定通りだと言えるよ」
■ドライバーとの契約は状況を見て
ファンとしては、2016年にグリッドに並ぶハースF1のシートに誰が座ることになるのか気になるところだ。だが、ハースはドライバーの選択に関しては現時点での優先度は高くないと次のように続けた。
「ちょうどいいタイミングを見計らうよ。夏までに(ドライバー)市場がどう変化するかを見たいしね」
「F1に関する知識を持った経験のあるドライバーを乗せることになるだろう。理想的には2015年に現役で走っているドライバーが好ましいね。一方で、我々はルーキーを乗せる用意もしている。だが、それが必ずしもアメリカ人である必要もないんだ」
そう語ったハースは、次のように締めくくった。
「今は具体的な名前は言えないな。私自身が誰が我々のドライバーを務めることになるのか分からないんだからね。現時点では、我々はエンジニアやメカニックの採用を進めている。ドライバーはその後だよ」