2月1日(日)にスペイン・ヘレスで始まった最初の公式F1冬季テストに走行したのは、7チームだけだった。
四日間まるまる欠場するのは、グリッド後方のケータハムとマルシャ。それに彼らと同様、経済的な問題といわれる理由からフォース・インディアもテスト不参加の方向だ。
以上の3チームに加えて、ロータスが1日(日)はガレージに留まった。
彼らとレッドブルは先週、初日は走らないかもしれないと伝えられていた。
■初日に間に合わせたレッドブル
レッドブルは結局、ギリギリのタイミングでFIA(国際自動車連盟)が必須と定める耐衝撃テストに合格。まるで産業スパイの目から守るように、新車RB11に迷彩色を施してきた。
チーム代表クリスチャン・ホーナーはいう。「最後の最後までプッシュするのは、われわれの十八番だ」
「限界を試さないのは努力が足らない証拠さ」とホーナー。
これほどレッドブルが手間取った理由は、ノーズ部分の新規則だといわれる。
アリクイと呼ばれて嫌われた、ぶかっこうな昨年のノーズを無くそうと、FIAが規則を改めたのだ。
ところが、その変更で頭を痛めたのがチームたちだった。彼らが導き出した理論的な解決策は二つ。まずは、フェラーリやマクラーレンの新車に見られる長いノーズ。もう一つは、メルセデスAMGのような短めのデザインだ。
■ウィリアムズのショートノーズ
ウィリアムズは、メルセデス派だ。短いノーズの先に、突起がニョキッと出ている。あれでFIAの耐衝撃テストに受かりましたといわんばかりだ。
ウィリアムズ幹部のロブ・スメドレイはドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌に対し、他チームが新マシンにロングノーズを取り入れたのを見て驚いたと、次のように語った。
「あれでよく従来のダウンフォースを確保できたものだ」とスメドレイ。「われわれもトライしたが、必要なレベルに到達するにはノーズを短くするしかなかった」
理想的な数値の解明が遅すぎたチームが出たとしてもおかしくない。たとえば初日に走らなかったロータスだ。
■今後もノーズ改良は続く?
強大なチーム力を持つレッドブルは何とか締切をすり抜けたが、カモフラージュされた短いノーズの先端部分は間に合わせのソリューションではないかといわれる。
開幕戦オーストラリアGP向けの最終スペックは、再度のFIA耐衝撃テストを経てから準備されるのかもしれない。
そこで『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌は、ある予想を立てた。今後FIAは、対衝撃テストで忙しくなるというのだ。各チームはこれからノーズを改良、FIAの承認印をもらうために列を成しそうだ。
「マクラーレンもフェラーリも、短いノーズを計画中だ」とは、同誌のみ会える・シュミット記者。「(ヘレスでは)ロングノーズをテストしているが、形だけでも耐衝撃テストを通さないと話にならないからだ」
ところでロータスだが、彼らは1日(日)、次のように言明した。「昨日(1月31日)、英エンストンの本社工場でE23に火を入れたうえ、現在ヘレスに向けて空輸中だ。本日中には到着する」