2015年シーズンに、各F1エンジンサプライヤーのエンジン開発の凍結が緩和されることになったが、現時点では2015年から新規参入するホンダだけが取り残される形となっている。
■現行ルールの抜け穴は、参戦初年度のホンダには適用外
フェラーリとルノーが現在のルールの抜け穴を見つけたことにより、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)のF1競技委員長を務めるチャーリー・ホワイティングは、「現在のエンジンサプライヤーは2015年シーズンを通じてV6ターボを含むパワーユニットの開発を継続できるものの、2015年からマクラーレンにエンジン供給を開始するホンダにはそれは適用されない」という解釈を示した。
これは、新たなエンジンエンジンサプライヤーに関しては、2月28日がホモロゲーション(認証)期限であるとの解釈によるものだ。
ホワイティングは、「現存メーカーたち(メルセデス、フェラーリ、ルノー)は2014年2月28日と定められていたパワーユニットの認証義務を果たしている。それゆえ、新たなメーカー(ホンダ)に対してはそのパワーユニットに関して2015年2月28日以前に認証を受けるよう求めることが公平かつ平等だと考えられる」との見解を示している。
■この事態に困惑するマクラーレンとホンダ
これに対し、マクラーレンの最高責任者であるロン・デニスは、最近行われたストラテジー・グループ(F1の意思決定機関)の会合において、新たにマクラーレンにワークスエンジンを供給することになるホンダに対して不利となる解釈が示されたことに懸念を表明したと先週報じられていた。
さらに、ホンダの内部関係者も、この事態には「困惑している」と認めている。
『BBC』は、マクラーレン・ホンダは、この件に関してFIAと連絡を取り合っており、来週には直接面談を行うことになるだろうと報じている。
■メディアの反応はさまざま
ここまでのところ、今回のエンジン開発凍結緩和問題に関するメディアの反応はさまざまだ。
ブラジルの『Globo(グローボ)』の記者リビオ・オリッキオは、マクラーレンのフェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンは今年は「恐らくは彼らのライバルたちがトップ争いをするのをただ眺めているしかないだろう」とし、次のように続けている。
「ホンダは、すでに1年間実際にパワーユニットを走らせた経験を持つばかりか、今年はさらにシーズンを通じてそれを改善することができるライバルたちと戦わなくてはならなくなる」
だが、これに対してイタリアの『Autosprint(オートスプリント)』誌は次のように指摘している。
「ホンダがエンジンの設計に1年余計に時間をかけることができ、ライバルたちが2014年を通じて得た経験を有利に生かすことができたのも事実だ」
「それらが、(ホンダエンジンの)タービンやコンプレッサーの配置といった特定の技術的な選択に対して影響を及ぼしているはずだ」
また、スペインの『AS』紙のラウル・ロモハロ記者は次のように書いている。
「マクラーレン・ホンダがホワイティングの解釈に対して何らかの異議申し立てをするか、あるいは協議の機会を設けようとするかは、今後様子を見ることになるだろう」
「いずれにしても、彼らは3月以前には何の制約もなく開発ができるという有利な点を生かすことに専念するしかない」