今年、17歳という史上最年少の若さでF1ドライバーとしてデビューすることになったマックス・フェルスタッペン(トロロッソ)が、あまり過度の期待はしないで欲しいと主張している。
フェルスタッペンの17歳でのF1デビュー決定は、F1関係者の間にも賛否両論を巻き起こすこととなった。
これをきっかけに、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)では、これまでにあまり明確な基準が設けられていなかったF1出走に必要なスーパーライセンスの発給要件を見直し、2016年からは18歳以上で、自動車運転免許を所有し、フォーミュラカーでのレース経験が2年以上あることなどの基準を新たに導入するという動きにも発展していた。
だが、批判的な意見がある一方で、カートを卒業してからまだ1年もたたないうちにモータースポーツ最高峰シリーズであるF1にまで駆け上ったフェルスタッペンに高い期待を寄せる声があるのも事実だ。
■初年度での勝利や表彰台は期待できない
だが、そうした期待の声に対し、フェルスタッペン本人はこれまた17歳とは思えないような冷静な反応を示している。
「時々、まるで奇跡が起こることを期待しているような声を聞いたり読んだりすることがある」
母国オランダの『De Telegraaf(テレグラーフ)』紙にそう語ったフェルスタッペンは、次のように続けた。
「でも、僕はドライバーであって、マジシャンじゃないんだ」
「今年、勝利をあげたり表彰台に上ったりできるとは思っていないよ」
■まだ経験を積むための時期だと父親のヨス
現在まだ42歳の父親のヨスも、かつて1994年に伝説的F1ドライバーであるミハエル・シューマッハのチームメートとして22歳でベネトンからF1デビューを飾ったという経歴を持っている。そのヨスも、息子のF1デビューに対する期待感が大きすぎることに対して懸念を抱いているようだ。
「次のシーズンは、彼にとっては走行距離を伸ばし、経験を積むためのレースをすることになる。そして、間違いなく、時にはグラベル(コース脇の砂利)の中にクルマを止めてしまうことだってあるさ」
「特に、みんなが彼を応援してくれることを期待するとともに、突然、やはり若いせいだなどと年齢のことを持ち出したりしないで欲しいと願っているよ」
そう述べたヨスは、次のように付け加えた。
「マックスが新たなF1チャンピオンだと考えている人も多いけれど、それはナンセンスだよ。3年後ぐらいにはそうなって欲しいけれどね」
■どう頑張ってもトップチームたちとは争えない
一方、マックス自身は、デビューイヤーである2015年にはポイントを獲得することが「現実的な目標」だとし、次のように語った。
「もし、8位から10位の間でフィニッシュすることができれば、自分の仕事をうまくやれていると言えると思う。でも、5位以内に入るためには運も必要だね」
「もちろん、雨になったり、あるいは多くのドライバーたちがリタイアしたりといったことで運が舞い込むこともあるかもしれない。でも、僕たちがレッドブル、メルセデスAMG、フェラーリ、マクラーレン、それにウィリアムズといったチームと戦えるとは思っていないよ」
17歳のマックスは、次のように締めくくっている。
「幸運なことに、風洞実験での数値からすれば僕たちのクルマは良さそうだ。それでも、ああいうチームの予算は僕たちのチームよりずっと多いんだからね」