さすがは往年のF1チャンピオンチームとでもいおうか、ウィリアムズが昨年成し遂げた大躍進に、同チームで1997年にF1王者となったジャック・ビルヌーブもびっくりだ。
振り返ると2013年、同チームが大スランプの最中にビルヌーブは、ポルトガル語系の雑誌『Revista Warmup(レビスタ・ウォームアップ)』に、次のようにいい放ったものだ。「どんなチームもペイドライバーを雇うようになったらおしまいだ」
彼らは当時、パストール・マルドナードとバルテリ・ボッタスの二人を擁していた。
その後マルドナードはロータスへと移った。ボッタスにも多少のスポンサーは付いていて、彼のビジネス面はウィリアムズ共同オーナーにしてメルセデスAMG会長のトト・ヴォルフが仕切っているとはいえ、2014年には次世代のスーパースターへと成長した。
その実力は、仮に連戦連勝のメルセデスAMGに空きシートが生じた場合、候補の筆頭はフェルナンド・アロンソで、次はボッタスだとヴォルフが指名するくらいだ。
ボッタスは現在25歳。いずれはフェラーリ入りも、とうわさされている。
「(キミ)ライコネンとの契約が切れるとき、彼ら(フェラーリ)にはあまり選択肢がないはずだ」と、ヴォルフは1日(木)、イタリア『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』紙に語った。
「今後もし、彼(ボッタス)がメルセデスを出るようなことになるなら、私から、いつくかの条件がある」
以前はボッタスについて遠慮なく辛口コメントを発していたビルヌーブだが、ウィリアムズは変わったと認めている。
「ボッタスは若いが、ペイドライバーとはいえない」と、『Revista Warmup(レビスタ・ウォームアップ)』最新号で述べるビルヌーブ。「彼らは(ボッタスの僚友)フェリペ・マッサからもブラジル発の資金を得ている」
「だが彼(マッサ)は過去にりっぱな戦績を上げたキャリア十分のプロ・ドライバーだ。それに彼ら(ウィリアムズ)は金の使い方をよく心得ている」
スランプだったウィリアムズが2014年、不死鳥のように蘇ってF1コンストラクターズ世界選手権で3位に入ったのは、メルセデスとカスタマー・エンジン契約を結んだからだとヴォルフは指摘する。
2015年はおそらく、メルセデスAMGにとって「もっとも強敵」になるだろうとヴォルフは予想する。
「ウィリアムズは大きな予算を持たない」とビルヌーブ。「ところが、みごとに流れを変えてみせた。まだまだ終わりではないが」
「今年(2014年)は久しぶりに健闘したシーズンだった。この調子で2015年も戦うか、注視する必要がある」
1997年、ビルヌーブはウィリアムズに乗って7勝をマークし、F1世界タイトルを獲得した。現在は43歳。2014年、ウィリアムズのパフォーマンスは上がると予想した彼も、「まさかあそこまでよくなるとは」思わなかったという。
「よくなるとは予想していた」とビルヌーブ。「だが、彼らはいい意味で予想を裏切ってくれたよ」