F1エンジン開発「凍結」解除を巡ってメルセデスとその他メーカーのあいだで長く繰り広げられた攻防は、フェラーリやルノーのライバル勢による勝利に終わりそうだ。
メルセデスの強力なV6ターボを相手に苦戦を強いられた両メーカーは、現行のホモロゲーション規則変更をしきりに要求していた。シーズン中に「パワーユニット」開発が厳しく制限されては性能向上を望めないからだ。
そこでフェラーリとルノーは、規則の抜け穴を探り当てた。旧ユニットで2015年を迎え、シーズン中に新バージョンと交換するのだ。
イギリス『BBC』の報道によると、先週ジュネーブで行なわれたF1戦略グループの会合において討議したところ、「シーズン前と同じく開幕後もエンジンのアップグレードが可能になったとみられる」という。
ドイツの自動車専門誌『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』では、どのメーカーも「2月28日の時点で全32(開発)トークンを使い切らなければ、シーズン中も改良作業の続行が可能になった」と伝えている。
エンジン開発「凍結」騒動についてスイス『Blick(ブリック)』紙のベテランF1記者ロジェ・ベノワは、「非常に繊細な問題だ。メルセデスもホンダも、すでにいちど撤退の姿勢を見せた」としている。
ルノー・エンジンを使用するレッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、全面的なエンジン規則書き換えが早急に必要だと主張している。これに首を傾げるのが、ずけずけとモノをいう男、1997年F1世界王者のジャック・ビルヌーブだ。
「彼(ホーナー)がそんなことをいうのは、チームがメルセデスのエンジンを持っていないからに他ならない」と、イタリア『Omnicorse(オムニコルセ)』に語るビルヌーブ。「もし手中にしていたら、逆に規則を変えたがらないはずだ」
「彼はF1の損得なんてお構いなしだ。だいじなのは自分のチームと将来だけさ」というビルヌーブだった。