17才の史上最年少にして来季F1デビューを果たすマックス・フェルスタッペン。だが元F1世界王者ジャック・ビルヌーブにいわせると、F1に対する「侮辱」だという。
フェルスタッペンは、カート卒業後わずか一年フォーミュラ・レースを経験しただけで、レッドブルのジュニア・チーム、トロロッソと2015年の契約を結んだ。
歯に衣着せぬ発言で知られる1997年のF1チャンピオン、ビルヌーブは、イタリア『Omnicorse(オムニコルセ)』に、次のように話す。「私に真実を述べよというのか?だったらいおう。マックス(フェルスタッペン)はF1をバカにしている」
「F1に子どもを乗せるなんて、レッドブルはどういうつもりだ?」
「彼が速いのは疑いようがない。しかし、何の経験もないじゃないか。私など、インディカー(当時CARTワールドシリーズ)を制してから25才でF1にたどり着いたというのに」
「周りで戦っているドライバーにも命がある。まず、学ぶべきことがあるはずだ。それにF1はイロハを学ぶ場所じゃない」
国際自動車連盟(FIA)はF1に18才の最低年齢を導入したが、ビルヌーブによると、それでは不十分だ。
「21才にすべきだろう」とビルヌーブ。「F1に乗るなら、多くの経験を積み重ねて勝者になってからだ。ドライバーとしてのスキルを磨きにくる場とは違う」
ビルヌーブは、レッドブルもフェルスタッペンのF1デビューが引き起こす影響に備えがあるとは思えないと、次のようにたしなめる。
「17才の少年がデビューするのは、F1にとって否定的なメッセージになる」「それに、これまでの受け止められ方はレッドブルが予想したほどポジティブではないと思う」
では、もっとも重大な問題は何か。今どきのF1マシンはあまりに運転を容易になりすぎたとビルヌーブは考える。
「フェルスタッペンは、サーキットに現れて10周も乗ればもう一人前のように見えた」「あれなら誰でもF1を運転できそうじゃないか。ケダモノのようなマシンを手なずける父(ジル・ビルヌーブ)の時代のドライバーは、それだけでヒーロー扱いされていた」
「インディカーからやってきた僕さえ、F1には感心させられた。ところが今のF1には凄さがない。何だか遅く感じられる」