EU(欧州連合)が定めた競争法(日本の独占禁止法に相当)に触れるとして、各チームと権利者間の協定破棄が懸念されるF1だが、この問題にマックス・モズレー前FIA(国際自動車連盟)会長が助け舟を出す勢いだ。
かねてから小チームたちは、F1の勢力分布や利益配分に不満を抱いている。先週にはイギリスのある政治家が欧州委員会(EC)の競争法責任者と会い、F1について話し合った。
問題の火種は他にもある。FIAがF1で持つという1パーセントの権利だ。F1を経済面から追うクリスチャン・シルト記者は先週、ECの委員長が「調査する」意向であると報じた。
イギリス『Times(タイムズ)』紙によるとECによるF1調査は、これまで知られていたよりも、かなり進行しているという。
フォース・インディア、ロータス、ザウバー、すでに破産したマルシャの計4チームは、法的書類を提出するようECから求められているとのことだ。
モズレーはいう。「仮にEUが介入したら、すべてが根底から覆りかねない」
「問題解決のアイデアとして私が指名されるのは光栄だが、今は何も関わっていない。ただし、この問題に影響を受けるすべての団体や企業が承諾すれば、何でもよいから助けになれたらとは思う」
モズレーは74才のイギリス人。超慎重派のジャン・トッドにFIA会長の座を譲るまでは長年、同職でらつ腕を振るった。その強引な手法はトッドとまったく対照的で、時に物議を醸すほどだった。
トッドが治める現FIAは、コスト問題で足踏みが度重なっている。先週スイス・ジュネーブでF1中枢部が話し合った際も、支出削減や、苦境に立たされる小チームの問題について解決を見いだせなかった。
それでも彼らは今月これから、もういちど顔を合わせるという。
『Times(タイムズ)』紙のケビン・イーソン記者は次のように述べる。「F1にとって気がかりなのは、EUの役人たちが一年半前までさかのぼって資料を作成していることだ」
「もし彼らが介入すれば、F1運営は、あらゆる角度から微に入り細に入り調べられるだろう」