元ケータハムとマルシャのテストドライバー、アレクサンダー・ロッシは母国アメリカに帰り、2015年に向けて北米のフォーミュラシリーズ最高峰インディカーの道を探っている。
ロッシはカリフォルニア州出身の23才。フォーミュラBMWやワールド・シリーズ by ルノー、そしてGP2に至るまで、過去六年にわたって修行を積んできた。
今年はケータハムの育成プログラムを抜けてマルシャに移籍、F1実戦デビューを果たすまで今一歩だった。特に第12戦ベルギーGPでは、スポンサーシップの問題にぶつかった正規ドライバーのマックス・チルトンと交代する寸前まで迫った。
だが両チームとも経営不振から会社清算に追い込まれた結果、レース情報サイト『racer.com』によるとロッシは、新天地をインディカーに求めることになったのだ。
「アメリカに帰ってきたよ」と今週語ったロッシ。「来年はインディカーにエネルギーを集中する」
8月のスパ・フランコルシャンではもう少しでF1デビューに手が届くところまで行ったが、他にもデビューのチャンスはあったとロッシは打ち明ける。
「確かに決勝のグリッドにはたどり着かなかった」とロッシ。「でも僕は、人知れず今年5戦もレースに出ろとマルシャにいわれたんだ。でも僕の力が及ばない状況から、いずれも実現しなかった。それにチームの財政は報道で皆も知っての通りだった」
「チームとは常に信頼で結ばれていたし、F1界もアメリカ人の僕を受け入れてくれたが、金銭問題で両チームとも首が回らなくなって、レースシートが四つも消滅してしまった。そんな状況で他に空きを求めるのは非常に困難だ」
ロッシは、「ここしばらく」インディカーで複数のチームと交渉を行っているという。
マルシャ崩壊の巻き添えになったドライバーが、もう一人いる。ロッシと同じく23才のチルトンだ。彼も今、関心の目をF1以外にも向けているところだ。
「もう既に(シートを)探し始めている」と、『Sky(スカイ)』に語ったチルトン。「DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)やLMP1(スポーツカー)から、いくつかオファーを受けた」
「チャンスを提供されるのは嬉しいが、僕にもF1ドライバーとしての意地がある。何とかして残りたいんだ。今のところ、それがAプランかな」
「でも、いずれBプランに乗り換えなければいけないかもしれない。シートが無くなるのは間違いないからね。F1にこだわり過ぎて、もうひとつの道が閉ざされるのは嫌だ」
「今後二週間が山だな。願うような結果が得られればいいけど」とチルトンはいう。例えば2015年は、F1の控えドライバーになるのもひとつの手だ。
「控え選手なら、レースシートを得る可能性はゼロじゃない。控えも悪くないだろう。でも今のところ、僕はマルシャ(の生き残り)に運命を託すよ」