レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーが、現在のF1エンジンルールが変わらなければ、F1から撤退するエンジンメーカーが出る可能性もあり、将来的に新規参戦を目指すメーカーさえ現れなくなるだろうと語った。
ホーナーは、現在の複雑なエンジンルールをもっと簡素化してはどうかとの提言を行っていたが、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)の会長であるジャン・トッドから「話にならない」と一蹴(いっしゅう)されていた。
そして、2014年に圧倒的な強さを見せつけたメルセデスAMGは、仮に今季敗北を喫したライバルメーカーたちによる不満やお決まりの反応によってまたルールが変更されるようなことがあれば、そのときは自分たちがF1から退くことになるかもしれないとの警鐘を鳴らしている。
■今のままでは撤退するエンジンメーカーも出る
しかし、ホーナーは、来シーズンにルール変更を行うという同意には至らなかったものの、F1では2016年のルールに関して真剣に考えていく必要があると主張している。
「もし開発コストが今のままであれば、新たなメーカーをこのスポーツに呼び込むことはできないだろうし、現在のメーカーだってF1から撤退してしまうことになるかもしれない」と語ったホーナーは、さらにスペインの『El Confidencial(エル・コンフィデンシアル)』に対して次のように付け加えている。
「もしいろんなことが現状のままで変わらなければ、ルノーやほかにも1社か2社のメーカーがいなくなるかもしれない」
「我々は特定のメーカーのためではなく、このスポーツにとって最善のことを行う必要があるんだ」
■このままではF1の人気低迷が加速する
ホーナーのこれまでの姿勢は、自分たちの利益のためだとみなす者も少なからずいた。だが、ホーナー自身は、F1全体が健全に継続していくことを目指してそう言っているのだと次のように続けた。
「広い視野で考えているんだ。視聴率は低下しているし、全体的に(F1への)関心も薄れてきている。今のエンジンは我々にとって最高のレース用エンジンだとは思えないよ」
「2016年もこのままの状態にしておくことはできないよ。我々はエネルギーを管理するための(ドライバーへの)無線連絡の量を減らす必要がある。それによって再びクルマを操るのはドライバー自身だということになるんだ」
だが、メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、ホーナーはレッドブルにエンジンを供給するルノーを代弁するような形でF1からの撤退をちらつかせるようなことをすべきではないと次のように反論している。
「恐らく、クリスチャンはルノーのことよりは自分のチームのことを語っているのではないかと思うけれどね」