F1が、これからの世代に目を向け、新しいワーキンググループを発足させたと報じられている。
■批判を呼んだF1ボスの問題発言
最近、F1最高責任者であるバーニー・エクレストンが、若い世代に対してF1の宣伝を行うことには興味がないと語って物議をかもしていた。エクレストンに言わせれば、高級時計のロレックスを買える金を持っているのは70歳代だというわけだ。
だが、エクレストンとは親しいことで知られるレッドブルのクリスチャン・ホーナー(チーム代表)でさえ、そのエクレストンのコメントは問題だとほのめかした。
「自分が84歳なら、70歳もまだかなり若いってことになるよね」
そう語ったホーナーだが、レッドブルのオーナー企業である世界的飲料メーカーの製品はまさに若い世代をターゲットとしているだけに、いくらエクレストンと親しいホーナーとはいえ、今回の発言には頭が痛いところだろう。
だが、エクレストンは、自分は世間一般に言われる「若い世代」を意味して言ったのではないと『Reuters(ロイター通信)』を通じて次のように反論している。
「私は、子供と言ったんだ。ロレックスを持っている6歳か7歳の子供がどれだけいるかは知らないがね」
■テレビに頼るF1。新たなビジネスモデル展開は?
だが、エクレストンの最近の発言の中で、特に反論を呼んだのが、今や世界を変えつつあるとも言われるフェイスブックやツイッターといったソーシャルメディアに対する批判だろう。
F1では、今でもかつてと同じように、テレビ放送局に対して独占放送権を販売することで収益を生むというビジネスモデルに頼っている。しかし、一時期は大きな成功を収めたドイツでさえ、テレビ視聴率は年々低下現象にある。
「日曜日の午後にテレビをつけて何時間もそれを見るような儀式は、もはやなくなってきているんだ」
ドイツの経済誌『Sponsors(スポンサーズ)』にそう語ったのは、メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフだ。
「人々は、彼らが求める製品を、望むときに望む場所で消費したいと思っているんだ」とヴォルフは続けた。
だが、ヴォルフも、F1の将来に関してはジレンマがあることも理解している。
「F1のように、伝統的なテレビ放送から6億(ユーロであれば約880億円)もの収入を得ていれば、放送局に対してこれからはYouTubeですべて無料公開するよ、なんて言うわけにはいかないからね」とヴォルフは付け加えている。
■F1にも次世代に目を向けた新たな動き
一方、ブラジルの『Totalrace(トータルレース)』は、F1がウィリアムズのチーム副代表であるクレア・ウィリアムズをリーダーとする現代的な新しいワーキンググループを発足させたと伝えている。
『Totalrace(トータルレース)』によれば、そのワーキンググループによる最初の提案事項が次回の戦略グループ会議にて議論されることになるだろうという。