レッドブルからフェラーリへと移籍したセバスチャン・ベッテルが早速来季に向けた活動を開始したようだ。
ベッテルは、今季のF1最終戦アブダビGPの翌週にヤス・マリーナ・サーキットで行われた公式テストにおいてフェラーリの今季型車によるテストを行うことをレッドブルによって妨げられたことは残念だったと語っていた。
だが、ベッテルは11月29日(土)に、マラネロのファクトリーのすぐそばにあるフェラーリの私設サーキットであるフィオラノ・サーキットにおいて、2012年型フェラーリF1カーでテスト走行を行っていたことが明らかとなった。
ベッテルは、「イタリアで迎えるフェラーリでの初日」という文字が書かれた白い特製ヘルメットをかぶっていたという。
■今回のテストは問題ないとレッドブル
だが、メルセデスAMGの非常勤会長であるニキ・ラウダは、これに関して『Bild(ビルト)』に次のように語った。
「ああいうテストは何の役にも立たないよ。あれは単なるショーでしかない」
実際、ベッテルが走行を行ったときは小雨も降っており、理想的なコンディションではなかったようだ。だが、ベッテルはその後も数日間マラネロにとどまり、担当エンジニアたちやチーム首脳陣と会うとともに、フェラーリの最新式シミュレーターも初体験する予定になっているという。
先週アブダビで行われたF1公式シーズン後テストに、まだレッドブルとの契約下にあるベッテルがフェラーリのピットに現れたことが話題となったが、これに関してレッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、「実質的には契約違反だ」と語ったとされていた。
だが、そのマルコも今回フィオラノで行われたV8エンジンを搭載した2年落ちのF2012で行われたテストについては「まったく合法的なものだ」とし、『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』に次のように語った。
「私でも同じことをやっただろうね。彼(ベッテル)はできるだけ早くフェラーリのエンジニアたちと仕事をして、フェラーリのやり方に慣れようとし始めたんだ」
■かつての担当エンジニアとも合流
イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』誌は、ベッテルはかつてトロロッソに在籍していた2008年に一緒に作業をしていたレースエンジニアのリカルド・アダミとの作業も開始したと報じている。アダミもベッテル同様に今シーズン後にフェラーリへと移籍してきていた。
フェラーリの創設者であるエンツォ・フェラーリの息子ピエロは次のように語っている。
「私は本当に楽観的だし、セバスチャンに競争力のあるクルマを与えることができるのを期待しているよ」
「もし彼が勝てなかったとしたら、それは我々のクルマのせいだということになる。彼のせいじゃなくね」
だが、2014年のF1チャンピオンとなったルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は、フェラーリに移籍したベッテルが、少なくとも2015年に最大のライバルのひとりとなるとは考えていないようだ。
「フェラーリは浮き沈みも多いし、難しい時期を迎えている」
『Bild am Sonntag(ビルト・アム・ゾンターク)』にそう語ったハミルトンは、次のように付け加えた。
「大きく陣容が変わるとチームも不安定になるものさ。ありがたいことに、僕たち(メルセデスAMG)はすごく安定したチームだけどね」
一方、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、うわさされていた前メルセデスAMGチーム代表であるロス・ブラウンがフェラーリへ復帰することはないだろうと報じている。それは、現フェラーリ社長であるセルジオ・マルキオンネが、ブラウンが希望していたチーム代表としての復帰という条件をのまなかったためだとしている。
フェラーリは、最終戦アブダビGP直後の11月24日(月)に、前チーム代表であったマルコ・マティアッチに代わり、フェラーリの長年のスポンサーであるマールボロの重役であったマウリツィオ・アルバベーネが就任することを発表している。