25日(火)にアブダビのヤス・マリーナ・サーキットで行われたF1公式テスト初日に、ほんの2日前までレッドブルのドライバーとして戦っていたセバスチャン・ベッテルが早くもフェラーリのガレージにその姿を現した。
ベッテルは、さすがにフェラーリのシャツは着ておらず普段着だったものの、エンジニアリングディレクターのパット・フライを始め、複数のエンジニアたちと会話を交わしていた。
さらには、彼の友人であり、来季のチームメートとなるキミ・ライコネンがテスト走行を開始すると、フェラーリの赤いヘッドホンを装着し、堂々とテストに「参加」していたのだ。
これには驚かされた者も多かっただろう。実際にはまだベッテルはレッドブルとの契約下にあるからだ。
そのベッテルは先週、自分がこのテストでフェラーリの2014年型車でテスト走行を行うことをレッドブルが拒否したことに対する不満を口にしていた。
「(レッドブルの)エンジニアが突然、僕が秘密をフェラーリにすべて伝えてしまうと言ってうろたえだしたんだ」
ベッテルは、もしかするとそれに対する仕返しとして、フェラーリでステアリングを握らない形での作業を事前に開始したのかもしれない。
だが、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、これ(ベッテルの行為)は実質的には契約違反だとドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』に次のように語った。
「法的には問題があるさ。だが、私はそれほど気にはしていないよ」
マルコがそう語った背景には、すでにしばらく前からベッテルが2015年に向けたレッドブルの計画に関しては詳細が伝えられない立場に置かれていたということがありそうだ。
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、オーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』に今週次のように語った。
「もちろん、今後の開発に関する情報は、通常はドライバーも得ることができる」
「F1は非常に競争が激しいビジネスだし、ほかのチームへドライバーが持って行ける情報もある」
しかし、ホーナーは次のように締めくくった。
「だが、セバスチャンはすごくプロ意識の高い人物だし、新車に関してそれほど多くの質問をしてきていたとは思わないよ」