2014年はシーズン通して激しい戦いを繰り広げてきたメルセデスAMGの2人だが、チャンピオンを獲得したルイス・ハミルトンを、敗れたニコ・ロズベルグが潔く称えている。
F1最終戦アブダビGPで逆転チャンピオンの可能性もあったロズベルグは、ポールポジションを獲得したものの、スタートに失敗してトップをハミルトンに明け渡し、その後エネルギー回生システムのトラブルで結局14位フィニッシュに終わった。
レース後の花火が夜空を飾る中、ロズベルグは潔く負けを認めた。
「ルイスは今年、僕より少しレースでいい仕事をしていた。ほんのわずかだけれど、僕はその分を見つけなきゃいけない」
■ハミルトンを祝福したロズベルグ
カート時代はチームメート同士だったロズベルグとハミルトンだが、今年は激しいチャンピオン争いの中で、関係もぎくしゃくしたものになっていった。
しかしロズベルグは、表彰台に上がる前の控え室を訪れ、優勝でタイトルを決めたハミルトンを祝福した。
ハミルトンはその場面をこう振り返っている。
「部屋にやってきたニコは、本当にプロフェッショナルな態度だった。そして、“すごいよ”と言ってくれた。“本当にいい走りだった”って」
「それは彼も同じだ。1年中、信じられないくらいいい走りをしていた。予選は特にね。脱帽だよ」
ロズベルグは、その後のチームのパーティーにも参加した。ただ、シャンパンでハミルトンのチャンピオン獲得を祝う様子を見ているのは「少しつらかった」と話している。
パーティーでもロズベルグはハミルトンにこう言葉をかけたという。
「“君はチャンピオンにふさわしいよ”って言ったんだ」とロズベルグ。
「今年ルイスはグリッドに並ぶ中で最高のドライバーだった。それに、僕たちのバトルは素晴らしいものだった。こういうバトルをするために僕はレースをしているんだ」
しかし、今週アブダビで行われるテストが話題になると、「正直今は、そういう気分にはなれないよ」とロズベルグは話している。
■ロズベルグの態度を称えるハミルトンとヴォルフ
ハミルトンは、ロズベルグの態度で2014年の緊迫した関係が「やわらぐ」かもしれないと話している。
「僕のところに自分からきてくれたニコの態度は素晴らしいよ。本当に感謝している。あんなふうに振る舞えるなんて、すごく立派だ」
「ものすごくつらいはずだ。チャンピオンを逃すのがどんな感じか、僕は知っている。だからもちろん、これからも頑張り続けるよ」
メルセデスAMGビジネス部門のエグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフも、ロズベルグの態度を称え、ドイツのテレビ局に次のように話した。
「今日一番感動したのは、ルイスを祝福しにいくニコの姿を見たときだ」
「あのニコの行動はまねできることじゃない。私はスパ(ベルギーGP)のあとの話し合いを見ているからね。あのときの関係は正反対だった。だから、2人の姿に本当に満足している。ルイスのほうも、ニコの祝福を素直に受け入れていたからだ」
また、ドイツのテレビ局『RTL』にヴォルフはこう話している。
「たとえ立場が逆でも、まったく同じだっただろう」
「こんなに立派なスポーツマンがチームに2人もいるなんて、本当に素晴らしいことだ」