今季から昨年のV8自然吸気エンジンに変わり、新たにV6ターボが導入されるとともにエネルギー回生システムは強化され、F1もハイブリッド時代を迎えている。
その今シーズンにはメルセデス製エンジンが圧倒的なアドバンテージを発揮し、ライバルであるルノーやフェラーリは、その差を縮めることすらままならない状態だ。
こうした状況を受け、ルノーやフェラーリでは現在のエンジン開発「凍結」ルールの緩和を要求。メルセデスにはそれに合意するよう強い圧力がかけられている。
そんな中、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が、F1最高責任者であるバーニー・エクレストンが、今後メルセデスAMGが圧倒的な強さでタイトルを独り占めする状況が続かないようにするために劇的とも言える改革案を提示したと報じた。
それによれば、エクレストンはメルセデスだけを開発凍結状態に置き、ルノーとフェラーリはその間に自分たちのパワーユニットのパフォーマンス改善ができるようにすることを望んでいるという。
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、これまでかたくなにエンジン凍結ルール緩和に反対しているメルセデスAMGの姿勢を強く非難してきた。だが、さすがのそのホーナーもこのエクレストンの案には賛成しかねるようだ。
「誰にとっても条件は同じであるべきだ」
そう語ったホーナーは、次のように付け加えた。
「メルセデスだってほかのメーカーと同じ枠組みのもとに開発が続けられるべきだよ」
エクレストンの極端な案が実現する可能性はなさそうだが、メルセデスもルノーやフェラーリが望むような形で現在の規則を緩和することに妥協するつもりはないようだ。
ホーナーは、今季のF1コンストラクターチャンピオンとなったメルセデスAMGの姿勢を次のように批判した。
「メルセデスAMGはほかよりもうまくやったんだから、今季のF1タイトルを得るにふさわしかった。だが、どうして我々にそれに追いつくためのチャンスが与えられないんだい?」
ホーナーは次のように結んでいる。
「ほかのメーカーには追いつくためのチャンスも与えられないまま、この先何年もメルセデスAMGが圧倒的な強さを発揮し続けるとしたら、それはこのスポーツのためにもいいことではないよ」