メルセデスAMGでは、今週末に行われるF1最終戦アブダビGP(23日決勝)後に、ルイス・ハミルトンと契約延長に関する話し合いを行うことにしたようだ。
今季、ハミルトンとロズベルグによるF1タイトル争いが白熱するに伴い、サーキット内でのクラッシュや、お互いにツイッターなどで心理戦を仕掛け合うといったシーンもたびたび見られることになった。だが、現時点ではこの2人が来季もまたチームメートとして戦うことになっている。
メルセデスAMGはすでにロズベルグとの契約は2016年以降も延長することで合意に達しているが、ハミルトンに関しては、現在の契約は来年2015年までとなっており、2016年以後についてはいまだ明確にはなっていない。
なぜロズベルグの契約だけが延長されたのか、と質問を受けたメルセデスAMGのトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)は、オーストリアの放送局『ORF』に次のように答えた。
「あの時期においては、2つのシートを確定しなくてはならないような状況に持っていきたくはなかったんだ」
「ニコはチームの重要な一員だし、序盤においては彼の調子もよく、パフォーマンスもよかったから、我々としては延長を望んだんだ」
『ORF』の「Sport am Sonntag(シュポルト・アム・ゾンターク)」という番組の中でそう語ったヴォルフは、次のように続けた。
「ルイスに関しては、いずれにしてももう1年契約が残っているし、夏ごろからそれ(2016年以降の契約延長)について話し合いを始めたんだ」
「我々はともに続けていきたいと考えているし、ルイスもそれは同じだと言ったから、そこまでは合意していた。だが、ある時点で、話し合いを続けるにはいいタイミングではないと判断したんだ。2人の戦いが激しさを増していたし、アブダビの後で話をするほうがいいと考えたわけだ」
ヴォルフは、次のように付け加えた。
「アブダビで、月曜日にそのことについて一緒に話をするということで合意しているよ」
もし、ハミルトンの契約が2016年以降も延長されることが決まれば、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)がメルセデスAMGのシートを獲得するチャンスはなくなりそうだ。アロンソは2016年にハミルトンの後任としてメルセデスAMG入りを望んでおり、そのために2015年は1年だけほかのチームに移籍するか、あるいはF1を休むことも考えているとうわさされていた。
だが、メルセデスAMGでは、今季いろいろな摩擦は生じたものの、ハミルトンとロズベルグというラインアップには満足しているようだ。
2015年シーズン、そしてその後のシーズンに向け、現在のドライバー2人の間に戦いの“炎”があることは、今後もメルセデスAMGが圧倒的な強さを保つために必要だと考えているかと尋ねられたヴォルフは、次のように答えている。
「そういう炎が重要かどうかは分からない。彼ら2人が興味を持っている唯一のことは、彼らが最速のレースカーを手にしているということだ。だから、現時点では我々はいい状況にあると言えるだろうね」
「もちろん、ほかにも大勢がこのコックピットに座りたいと思っているだろう。だが、うちの2人もそういうふうに考えて欲しいと思っているし、そうすれば我々はこのドライバーの組み合わせで続けることができる」とヴォルフは締めくくった。