ホンダは、新型FCV(燃料電池自動車)の「FCVコンセプト」と、FCVから最大出力9kWのAC出力を可能にする外部給電器のコンセプトモデル「パワー・エクスポーター・コンセプト」を世界初公開した。
「FCVコンセプト」は70MPaの高圧水素貯蔵タンクを搭載し、700km以上の航続距離を実現。水素タンクの再充填は約3分で完了するなど、現在のガソリン車と同等の使い勝手を可能とするとともに、「パワー・エクスポーター・コンセプト」の搭載により「走る電源」として、災害時などにはクルマが作る電力をコミュニティーに提供することが可能となる。
ホンダは、多様なエネルギー源から製造可能で、輸送や貯蔵もできる水素を次世代の有望なエネルギーキャリアととらえ、1980年代後半から積極的にFCVの研究開発を行ってきている。2002年に開発した「FCX」は、米国環境保護庁およびカリフォルニア州大気資源局認定をFCVとして世界で初めて取得し、日本と米国でリース販売を開始。2003年には、世界で初めて氷点下での始動を可能にした燃料電池スタックを開発し、2005年には世界で初めて3FCVを米国の個人ユーザーに対しリース販売を開始している。さらに、2008年には他社に先駆けてセダンタイプの「FCXクラリティ」のリース販売も開始している。
これらのノウハウを生かした「FCVコンセプト」は、さらなる性能向上とコストダウンが目指された次世代FCVのコンセプトカーだ。これに搭載されている新開発の燃料電池スタックは従来型より33%の小型化を図りながら、出力は100kW以上、出力密度は3.1kW/Lと従来比で約60%の向上を実現。その燃料電池スタックを含めたパワートレインを、市販車として世界で初めてセダンタイプのボンネット内に集約して搭載。これにより、大人5人が快適に座れる、ゆとりあるフルキャビンパッケージを実現するとともに、将来のFCVの普及拡大期に複数の車種に展開することも可能となった。
ホンダでは、このコンセプトカーをベースにした新型FCVの国内販売を2015年度中に開始する予定としており、その後、米国や欧州への展開を目指す。さらに、これらに加えてホンダの独自技術である高圧水電解システムを採用したパッケージ型「スマート水素ステーション」の普及促進を図ることで、将来の水素社会到来に向けて「つくる」「つかう」「つながる」という3つのコンセプトによるCO2ゼロ社会の早期実現を目指すとしている。