フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)のマネージャー、ニコラ・トッドによると、2014年ほど彼の充実した表情はめったに見ないという。
昨年限りで8年を過ごしたフェラーリから解雇されはしたが、2008年にはルイス・ハミルトン(当時マクラーレン)と、きん差のランキング2位を記録したマッサ。
しかし、近年は自信のない走りを繰り返し、フェラーリ内での居心地も悪かった。チームメートはあのフェルナンド・アロンソで、完全な「ナンバー2」扱いを強いられていた。
トッドはフランス『Auto Hebdo(オート・エブド)』誌に、今季加入したウィリアムズでマッサは生まれ変わったと話す。
「チームから注目され、あてにされたら人生変わるさ」
「フェラーリでは、あり得なかった」と語るトッド。彼は、元フェラーリのチーム代表で現FIA(国際自動車連盟)会長、ジャン・トッドの子息だ。
今季ウィリアムズでマッサは、何度となく不運に見舞われている。しかもチームメートは、将来を期待されるバルテリ・ボッタスだ。
それでも先週末のF1第18戦ブラジルGPではあふれる感情を抑えて力強い戦いを見せ、今季二回めの表彰台に立っている。
「自分の思い通りにならない状況を打破するチャンスもあって、張り切ったんだろうね」と、トッド。「ようやく、いいマシンが手に入ったのだ。やる気が出て当然だろう」
「ただ、いろいろ事情があってポイントを取るまで大変だった。運というより、めぐり合わせが悪かったんだ。対照的にシーズン後半はとても調子がいい」
「それに、ボッタスの成績など気にならないどころか、まったく逆だ」とトッド。「いいマシンといいチームの証だね」
「彼(マッサ)は、どんなことでもチームのために頑張る。もう二十才の子どもじゃないと、彼も分かっているんだ。これから活躍できる年数だって長くない。簡単に投げ出したりしないのは、そのせいさ」
「あれほど幸せそうな彼は、めったにお目にかかれない。ウィリアムズは確かに偉大な英国チームだが、それでいて変な力は働かないし、プレッシャーもない。政治的な人間関係もなしだ」