F1エンジン開発凍結「解除」を巡って議論が交わされるなか、メルセデスの態度が原因で各エンジン製造会社は採算度外視の戦争に突入している。そんな見方にトト・ヴォルフが反発した。
メルセデスにもっとも批判的な一人は、ルノー・ワークスのレッドブルでチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーだ。先週末の第18戦ブラジルGPで彼は、一社の独占状態に苦しむライバルメーカーを助ける気がメルセデスにないなら、2015年以降は開発凍結で支出を抑えるやり方を止めてもいいと発言している。
「多数決の投票に持ち込めば、2016年から18年までは自由競争となる」と、ホーナー。「そんなのバカバカしいじゃないか。二年間節約しても、次の三年は湯水のように金を使うなんて」
これに対してヴォルフは、ホーナーの発言に疑いの目を向けている。いくら高圧的なコメントで脅しても、どうせエンジン競争には発展しないというのだ。
「真剣にF1に取り組む会社なら、そんなことを許すはずがない。いま参戦中の三社にとっては、支出が青天井になるなんてとんでもない話だ」
ヴォルフは、レッドブルをサポートするルノーの事情にも通じているという。彼らは、エンジン「凍結」の全面的な解除を望んでいない。
「メルセデスとルノーは、ある点においてまったく考えが同じなんだ。それは現在のV6技術だよ。技術の粋を集めると同時に、市販車にも関連している。まさに自動車の未来そのものだ」
V8自然吸気エンジンだったらより安価だし、性能も画一化するからF1にとってはその方がいい。ホーナーはそんな揺さぶりもかけているが、ヴォルフは、なんと白々しいとあきれ顔だ。
ホーナーのコメントは、もしV8が復活したら「メルセデスはF1を辞める」と警告したニキ・ラウダの発言を受けてのものだ。
「もし今のフォーマットが廃止されたら、ルノーやメルセデスといったメーカーは、他のいかなるパワーユニットも供給に興味は示さない。金を賭けたっていい」と話すヴォルフだった。