F1第18戦ブラジルGPの舞台裏で行われた小規模チーム支援策の話し合いは決裂し、カスタマーチームによる別の選手権を設立する案が出ているようだ。
第17戦アメリカGP前にケータハムとマルシャが相次いで破たん。F1の収益分配方法が不公平だという小規模チームの不満が噴出し、ロータス、ザウバー、フォース・インディアによるボイコットが懸念される事態となった。
これを受けてF1最高責任者のバーニー・エクレストンは、分配方法の不公平を認め、小規模チームを支援する方策として、1億6000万ドル(約180億円)の基金設立についてF1最大株主のCVCキャピタル・パートナーズと話し合う意向を示していた。
しかしエクレストンはブラジルGPで態度を180度変え、交渉は「時間の無駄」であり、小規模チームは身の丈に合った運営に修正するべきで、それができないならF1を去るべきだと語った。
フォース・インディアの副チーム代表ボブ・ファーンリーは、金銭的な支援策が頓挫したことを認めた。
「金銭的なことは検討されていないことを、はっきり示された」とファーンリー。
また、エクレストンとCVC、大規模チームには、小規模チームを追い出してカスタマーチームにするという「明らかな構想」があり、「3台エントリーは暫定措置」だとファーンリーは話している。
■カスタマーチームの選手権を創設?
エクレストンが小規模チームに提案している唯一の譲歩案は、大規模チームからシャシーを購入するカスタマーチームになることのようだ。2016年から参戦することが決まっているハースF1チームはフェラーリと提携している。
ロータス、ザウバー、フォース・インディアとの交渉についてエクレストンが次のように語ったとドイツの『Sport1(シュポルト1)』が伝えている。
「あのチームが会談で私に何と言ったと思うね? “われわれはコンストラクターだ”と言うんだ。コンストラクターをやるだけの金がないじゃないかと言ってやったよ」
「コンストラクターに加えて、もう1つ別の選手権を設けるというのも1つのアイデアかもしれない」
つまり、フェラーリ、レッドブル、メルセデスAMG、マクラーレン、ウィリアムズの5チームによるコンストラクターズ選手権のほかに、小規模チームが型落ちのカスタマーカーとエンジンで戦う選手権を別に設立するということだ。
■怒りを募らせる小規模チーム
ロータスのチーム会長兼チーム代表ジェラルド・ロペスも次のように話している。
「実際に進んでいるのは、サードカーについてとか、シリーズを2つのカテゴリーに分けることとか、そういう話だ」
「ところが、問題に対する真の解決策を探すことについては、まったく話がない。誰もが正気とは思えないことを言っている」
サードカーはF1の「死」を意味する、とロペスは言う。
ザウバーのチーム代表モニシャ・カルテンボーンも、9日(日)に記者らに次のように語っている。
「提案された内容を見る限り、ある構想が存在すると考えざるを得ません」
「そうしたアイデアが出れば出るほど、われわれ3チームが続けることを望まない人がいるのではないか、このスポーツがまったく違った方向に変わろうとしているのではないかという気がしてくるのです」
しかしエクレストンは、F1で小規模チームが生き残るにはカスタマーカーが最も良い方法だと語る。
「この条件なら、年間3000万ドル(約34億円)でチームを始めることもできる。それで選手権で10位になれば4800万ドル(約67億円)手に入るんだ。その何が問題なんだね?」