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【スーパーフォーミュラ最終戦】中嶋一貴がポール・トゥ・ウィンで戴冠、トヨタ圧勝の年

2014年11月10日(月)10:52 am

全日本選手権スーパーフォーミュラの最終戦が鈴鹿サーキットで、1大会2レース制として開催され、レース1は4番手グリッドから抜群のスタートを切ったジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL)が完勝。中嶋 一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)が2位、アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が3位に入り、タイトル争いは中嶋とオリベイラが1点差でレース2へ。

レース2はポールポジションから逃げた中嶋一貴が後続を大きく引き離しポール・トゥ・ウィンで圧勝。中嶋一貴は2012年に続き、2年ぶり2回目の国内トップフォーミュラチャンピオンを獲得した。

11月8日(土)と9日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットでスーパーフォーミュラの第7戦「第13回JAF鈴鹿グランプリ」が開催された。
 シャシー、エンジン共に一新された新型で戦われた今季のスーパーフォーミュラも、シーズン最終戦を迎えた。

 例年に無い混戦となっている今季、ランキングでは、首位の中嶋一貴に4ポイント差の2位にオリベイラ、6.5ポイント差でロッテラーとロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)が追う状況。今大会は2レース制、20周と28周という、超スプリントレースとして行われ、最終戦は特別ボーナスポイントが加えられるため、ポールポジションのボーナスポイントも含めれば、両レースで最大18ポイントが獲得出来るため、上位の4人だけで無く、7人ものドライバーが逆転タイトルの可能性も残しての最終戦となった。

 今季のスーパーフォーミュラは、トヨタエンジンが開幕から強さを見せ6連勝。前大会スポーツランドSUGOでは惜しくも勝利を譲ったが、タイトル争いは、7名全員がトヨタエンジンを搭載しており、「新生スーパーフォーミュラ」初代チャンピオンの栄誉をかけ最終戦に臨んだ。

 また、今大会は、28年ぶりに復活した"JAF鈴鹿グランプリ"というビッグタイトルもかけられており、歴史に名を刻むレースとして、ドライバーとって一層の気合いの入る一戦となった。

◆予選◆
 今大会は2レース制で行われるため、ノックアウト方式の予選Q1で、レース1のグリッドも決定される。このため、Q1から激しいアタック合戦が繰り広げられた。

 8日(土)は空には雲がかかっているもののドライコンディション、午後1時半に予選Q1(20分間)がスタート。ほとんどの車両がセッション開始と共にコースインし、まず1度目のタイムをマークした後ピットへ。残りが7分を切ったところで、各車ニュータイヤで再アタックを開始。セッション終盤に各車タイムを上げていった。

 最後のアタックで、ロッテラーがトップタイムを叩き出した直後、チームメイトの中嶋一貴が1000分の1秒まで全く同じタイムをマーク。規則に則り、先にタイムを出したロッテラーがレース1のポールポジションを獲得。中嶋一貴が2番手で最前列グリッドとなった。ロッテラーはボーナスポイントを獲得し、中嶋一貴との差を1ポイント縮めた。

 国本 雄資(P.MU/CERUMO・INGING)が好走を見せ3番手。中嶋一貴、ロッテラーと僅差でタイトルを争うオリベイラ、デュバルが4,5番手で続いた。
 タイトルの可能性を残す石浦 宏明(P.MU/CERUMO・INGING)が7番手、平川 亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)が8番手。ジェームス・ロシター(KONDO RACING)は10番手、クマール・ラム・ナレイン・カーティケヤン(Lenovo TEAM IMPUL)が11番手。

 中山 雄一(KCMG)は午前中のフリー走行でターボトラブルに見舞われセッティングを詰め切れず19番手。嵯峨 宏紀(TOCHIGI Le Beausset Motorsports)が20番手でトヨタ勢では2台がQ1敗退となった。

 予選Q2(7分間)では、石浦がトップタイム。カーティケヤンが10番手でQ2敗退となったが、その他の8台のトヨタ勢はトップ8を占め、スーパーフォーミュラでは初めて、トヨタエンジン搭載車のみでQ3が争われることとなった。

 予選Q3(7分間)はセッション開始後1分ほど待機し、オリベイラからコースイン。タイヤを温めた後アタックに入った。オリベイラに続きアタックした中嶋一貴が完璧な走りを見せトップタイムをマーク。その後各車次々にアタックしていくが、中嶋一貴のタイムは上回れず、レース2は中嶋一貴がポールポジションを獲得。タイトルへ向け、貴重な1ポイントを獲得し、僅かながらランキング2位以下とのポイント差を広げた。

 2番手はデュバル、3番手にロッテラー、4番手には国本が入った。5番手以降は石浦、オリベイラ、平川、ロシターと続き、明日のレース2のグリッドが確定。ロシターはQ3で車体下部のトラブルに見舞われ、タイムを伸ばすことが出来なかった。
 トヨタエンジンは今季最後のレースを、グリッドの4列目までを占めてスタートすることとなった。

◆決勝レース1◆
 9日(日)は朝から雨に見舞われた。雨脚はそれほど強くはないものの、コース路面は完全なウェットコンディションで午前10時10分にフォーメーションラップが開始。しかし、スターティンググリッドに車両が整列したところで、後方でエンジンストールさせた車両が居たため、赤旗が出され、再度フォーメーションラップを行い、予定よりも1周減算した19周でレースがスタートした。

 最前列に並んだロッテラーと中嶋一貴が並んで先陣を競り合う一方で、2列目4番手グリッドのオリベイラが絶好のスタートダッシュを見せ、1コーナーの大外からトムスの2台をパス。一気に首位に躍り出た。ロッテラーと中嶋一貴はほぼ並んだまま、1コーナーへと進入していったが、中嶋一貴が先行。首位のオリベイラを追った。

 3番手グリッドの国本がやや遅れ、これをかわして4位に浮上したデュバルだったが、グリッドでのスタート待機時にほんの少し車体が動いてしまったとして痛恨のフライングスタート判定を取られ、ドライブスルーペナルティ。17位へと後退を余儀なくされ、タイトル争いからは事実上脱落してしまった。

 首位を行くオリベイラは、ハイペースで後続を引き離して行き、レースが折り返しとなった10周目には2位に6秒もの大差をつけたが、レースが進んで行くにつれ雨が強さが増していく中、11周目の130Rでクラッシュが発生。ドライバーは無事だったが、セーフティカーが導入されることとなった。
 その直前には、17位を走行していた中山雄一が、トランスミッショントラブルに見舞われヘアピンでコースアウト。レースを終えることとなってしまった。

 セーフティカーが導入されたことで、首位のオリベイラが築いていたマージンは帳消しとなり、14周目に再スタート。再スタート直後はオリベイラに肉薄した中嶋一貴だったが、その後もオリベイラのハイペースは変わらず、再び徐々に差は開いていくことに。

 最後は3.8秒の差をつけ、オリベイラがトップチェッカー。中嶋一貴は2位、ロッテラーが3位でフィニッシュ。逆転タイトルの可能性を残していた国本は4位、石浦が5位、ロシターが6位で続いたが、レース1の結果、タイトル争いは上位の3人に絞られることに。ランキング首位の中嶋一貴とオリベイラはわずか1ポイント差。ロッテラーは中嶋一貴に7.5ポイント差で可能性を残したものの、事実上、オリベイラと中嶋一貴による一騎打ちという状況でレース2を迎えることとなった。

◆決勝レース2◆
 レース2のスタート前には雨はほぼ止んでいたが、路面はウェットのまま。車両がフォーメーションラップを開始した午後3時、再び軽い雨が降り始めた中で、レース2(28周)のスタートが切られた。

 ポールポジションの中嶋一貴は好スタートで首位をキープ。チームメイトのロッテラーも好スタートで2番手グリッドのデュバルをかわし、トムスが1-2状態に。これをデュバル、そして6番手グリッドから4位へと順位を上げたオリベイラがこれを追う形となった。

 雨は小康状態とはいえ、ストレートや高速セクションでは高い水煙が舞い上がる中、前走車に視界を妨げられることの無い中嶋一貴はハイペースで後続を引き離して行き、4周目には2位以下との差を5秒以上に広げた。

 上位勢の差がやや開き、順位が硬直状態となる一方で、後方では、スタートで順位を落とした石浦がポジションアップ。また、好スタートで7番手グリッドから5位へと順位を上げた平川に、国本が猛追。2台は数周にわたってテール・トゥ・ノーズの激しい5位争いを繰り広げた。

 13周目、国本はストレートで平川に並びかけるもパスはならず。追撃の手を緩めない国本は、その周の最終シケイン進入でついに平川をパスしたが、続くストレートでは、平川がオーバーテイクシステムを使用し、ストレートで並ぶと、1コーナーでアウトから国本をパス。何とか再逆転を狙った国本だったが、2コーナー進入で平川に接触しそうになり、痛恨のスピン。11位まで順位を落としてしまった。国本はその後、順位を取り返すべく猛プッシュを開始したが、15周目にコースアウト。無念のリタイアとなってしまった。

 レースが後半に入ると、逃げる中嶋一貴と、追うデュバル、オリベイラが互いにファステストラップを塗り替え合いながら周回を重ねていった。
 24周目にはオリベイラがデュバルに迫り、デュバルはシケイン進入でブレーキングをミス。この隙を逃さずオリベイラはストレートで並びかけ、2台は共にオーバーテイクシステムを点滅させながらのサイド・バイ・サイドの激しいバトルとなったが、1コーナー進入ではデュバルが抑えきり、3位を死守。このバトルで、前を逃げる中嶋一貴、ロッテラーとの差は若干開くこととなってしまった。

 27周目にもデュバルがファステストラップをマークするなど速さは見せたが、首位の中嶋一貴は一時2位以下に10秒以上の大差をつけるなど独走でチェッカー。今季最後のレースをポール・トゥ・ウィンの圧勝で飾り、自身2年ぶり2度目のシリーズチャンピオンを決めると共に、レース1との総合結果で今大会にかけられた「JAF鈴鹿グランプリ」も獲得した。PETRONAS TEAM TOM'Sは前戦の時点でチームタイトルを確定しており、チーム設立40周年を迎えた記念すべき年に、ドライバーとのダブルタイトルを獲得した。
 2位にはロッテラー、3位デュバル、4位オリベイラ、5位平川、7位に石浦、8位にカーティケヤンが続き、ポイントを獲得。

 新しい技術を採用した新型エンジン、新型シャシーの組み合わせでとなった今季の「新生」スーパーフォーミュラは、トヨタエンジン搭載車が全7大会9レース中8勝という圧倒的な勝利を収め、ランキングではチャンピオンの中嶋一貴に続き、オリベイラが2位、ロッテラーが3位、デュバル4位、石浦5位、ロシター6位、国本7位、平川8位と、トヨタ勢がトップ8を占めて幕を閉じた。

■PETRONAS TEAM TOM'S 37号車 ドライバー 中嶋一貴:
「レース2はポールポジションからのスタートと言うことで、しっかりスタートを決めればレースの主導権が握れると思っていた。ウォームアップでのペースがあまり良くなかったので、多少心配はしていたが、スタートを上手く決められた。特にクルマの状態が良いわけではなかったが後続との差を築くことができ、結果的に完璧なレースが出来た。レース1で決められれば午後は楽だったはずだが、そんなに簡単ではなかった。ウェットだったこともあり、28周は長かったが、なんとか耐えてタイトルを決めることができてほっとしている。一昨年のタイトル獲得の時と、今回もプレッシャーは同様だったが、今回は自分の力で勝って決められて良かった。シーズンを通して思い返すと、満足出来ていない部分もあったので、またタイトルを獲れるよう頑張りたい」

■PETRONAS TEAM TOM'S 36号車 ドライバー アンドレ・ロッテラー:
「難しいレースだったが、3番手スタートから2位フィニッシュというの結果は悪くない。4周目くらいからずっとオーバーステア症状に苦しみながらの走行だっただけに、2位でフィニッシュ出来て良かった。シーズンについては、勝つために戦っているのだし、ランキング3位は残念な結果だ。開幕戦が良くなかったことや、欠場レースがあったことが結果に影響しているのかも知れないが、今更言っても仕方ないし、何よりトムスチームの一員として今シーズンを戦い、チームとして最良の結果で終われたのは良かった」

■スーパーフォーミュラ最終戦終了後のドライバーズポイントランキング
順位/ドライバー名(チーム名/エンジン名)ポイント
1 中嶋 一貴(PETRONAS TEAM TOM’S/TOYOTA RI4A)46ポイント
2 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL/TOYOTA RI4A)39.5ポイント
3 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM’S/TOYOTA RI4A)34.5ポイント

■スーパーフォーミュラ最終戦終了後のチームポイントランキング
順位/チーム名/エンジン名/ポイント
1/PETRONAS TEAM TOM’S/TOYOTA RI4A/79.5ポイント
2/KYGNUS SUNOCO Team LeMans/TOYOTA RI4A /46ポイント
3/P.MU/CERUMO・INGING/TOYOTA RI4A /45.5ポイント

(トヨタモータースポーツニュース)

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