2014年のチャンピオン決定はF1最終戦アブダビGP(23日決勝)に持ち越されたが、今年から導入されたポイント2倍制が影響する可能性もある。
ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)は、第18戦ブラジルGPで優勝したことで、ランキングトップのチームメート、ルイス・ハミルトンに対して17ポイント差に縮め、最終戦に逆転の望みをつないだ。
終盤追い上げたものの2位に終わったハミルトンは、「レース中盤に大きなミスを犯してしまった」と単独スピンを悔やんでいる。
■自力での逆転が不可能なロズベルグ
ポイント差は縮んだものの、ロズベルグは自力でチャンピオンを獲得することはできない。ロズベルグが優勝してもハミルトンが2位だった場合は逆転できないのだ。
ブラジルGP後のトップ3記者会見で、ロズベルグは3位に入ったフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)に助けを求めた。
笑顔でマッサを指さし、「彼だよ。僕にはフェリペ・マッサの助けがいる」とロズベルグ。
その後、ロズベルグはこう説明している。
「アブダビでルイスが2位フィニッシュしたらダメなんだ。彼が3位以下でなきゃ」
「アブダビ前にしっかりリラックスしておくようフェリペに言っておかなきゃいけないね。そして、目を見張るような週末にして2位でフィニッシュしてもらうんだ!」
■「勝ち方は知っている」とハミルトン
これに対してハミルトンは、タイトル争いの締めくくり方は知っていると語った。ドイツの『Bild(ビルト)』紙が伝えている。
「2008年に初めてタイトルを獲得したときとは状況が違う。でも勝ち方は知っている」
「以前ほどリスクを冒す必要がないのは確かだ。たとえリスクの大きな状況に陥っても、僕の経験がものを言うといいね」
17ポイント差で最終戦を迎えるハミルトンは、通常通りなら、ロズベルグ優勝でも6位に入ればチャンピオンを獲得できるはずだった。しかしポイントが2倍になることで、メカニカルトラブルなどの影響がより大きなものになる可能性もある。
そのため、「何があっても優勝する」といったアプローチをハミルトンが取らないとしても当然だ。
■ポイント2倍制が落とす影
最終戦ポイント2倍制を提案したF1最高責任者のバーニー・エクレストンも、「こういった状況になること」は想定していなかったとブラジルGPで認めている。
メルセデスAMGビジネス部門のエグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフもこの制度に懸念を示していると『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が伝えている。
「(信頼性の問題などで)2人のどちらかがリタイアした場合、タイトルに大きな影を落とすことになるだろう」
「ダブルポイントが好きな者は誰一人いない。これについて話し合って、来年は廃止するべきだ」
「アブダビのマシンは全パーツについて二重にチェックする」
「すべて走行距離の短いパーツを使う」とヴォルフは話している。
また、アブダビGPでハミルトンとロズベルグがクラッシュする可能性もヴォルフは否定していない。
「チーム内は緊迫した雰囲気だ」とヴォルフ。
「2人はここ(ブラジル)では口をきかなかった。だが、それは問題ない。今やチャンピオン争いが決まる段階になっているんだし、チーム内でもそれを痛感している」