F1ファンの浄財を頼りにチーム再建を図るケータハムの手法に否定的な意見が集中している。バーニー・エクレストンも、彼らを批判する一人だ。
会社再建中でF1第17戦アメリカGPと今週末の第18戦ブラジルGPを欠場したケータハムは、活動資金を稼ごうとITや音楽界では一般的なクラウドファンディングを導入。現金にして400万ドル(約4億5,800万円)を集め、最終戦アブダビGP(11/21-23)に出るもくろみだ。
実際のところ、ケータハムに後はない。エクレストンが8日(土)に警告したように、もしアブダビに出なければ、彼らの2015年グリッドはないのだ。
「ああ、もちろんだ」と、インテルラゴスで報道陣に語ったエクレストン。
「金もないのにポーカーのテーブルに座ってみろ。つまみ出されてサヨウナラさ」
活動資金を一般人の財布に頼るケータハムを最初に攻撃したのは、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーだった。それでも驚くべきは、アブダビ行きに必要な資金の20パーセントにあたる80万ドル(約9,100万円 注:翻訳時点)が早くも集まっている。
だが、ホーナーと同じ意見を持つ者は多い。例えば、GPDA(F1ドライバーズ協会)のアレキサンダー・ブルツだ。
「F1と関わって何年も経つが、グリッド後方のチームは常に乏しい資金でやりくりしている」と、ドイツのテレビ局『Sky(スカイ)』に語るブルツ。
「いくつかのチームは赤字なのに、まだ金を投入している。厳しい経済状況は承知していたはずだ。それでもF1に名乗りを上げ、案の定、金の管理に失敗した」
「そんなチームに同情はできないな」と語るブルツ。
エクレストンは、資金に乏しいチームをよく「物乞い」にたとえるが、ケータハムのクラウドファンディングも例外ではない。
先日、ケータハムの本拠地が差し押さえられた上、ツイッターで資産売り出しが宣伝された際、エクレストンは次のように語った。「彼らはもう辞めてもらってけっこうだ」
「募金箱を持った連中に、その辺をウロチョロされたくないね」
ケータハムは今回、募金箱をファンに向けた形だが、クラウドファンディング計画についてエクレストンは、次のように断じた。「悲惨そのものだ」
「ほんとうに物乞いはやめてほしい。F1はダメでも、他に何かできるだろうに」
年間賞金の分配方法を巡って、プライベート系チームのロータス、フォース・インディア、ザウバーの怒りを買っているエクレストン。彼らのために1億6,000万ドル(約183億円)の、いわゆる「活動基金」を調達しようと舞台裏で話し合いを行なっているが、彼は8日(土)、進捗が思わしくないことを明らかにした。
F1の権利を握る投資会社CVCは金を手放してくれそうかイギリス『Sky(スカイ)』が質問したところ、エクレストンの答えは次のとおりだった。「それが、ダメなんだ」
「(他の)チームの許可を得て、彼らの取り分を基金に回すのが唯一、基金を実現する方法だ。彼らは総額10億ドル(約1,146億円)近い金を受け取っている。そこから多少削るぐらいはやってくれるんじゃないか」と語るエクレストンだった。