不振にあえいでいるキミ・ライコネン(フェラーリ)にとって、現在のさまざまなプレッシャーは好調を取り戻すための“前向き”な要素でしかない。
そう主張するのは、ライコネンのボスであるチーム代表のマルコ・マティアッチだ。
フェラーリに移籍以来F1タイトルに手が届かなかったフェルナンド・アロンソがチームを離脱することが確実視されている中、チームメートのライコネンは2015年もフェラーリで走ることになるのがほぼ間違いないと考えられている。
だが、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、2007年のF1チャンピオンが来季もフェラーリへとどまるべきだろうかと疑問を呈している。
それは、今季5年ぶりにフェラーリに復帰したライコネンにとって、悲惨なシーズンとなっていることが明らかなためだ。オースティンで行われたF1アメリカGP(第17戦)でもノーポイントに終わったライコネン。ここまでの獲得ポイントはわずかに47ポイントで、アロンソの149ポイントに遠く及ばない数字しか残せていない。
ライコネンは公然とフェラーリの今季型車であるF14 Tにてこずっていることを認めているが、オースティンではこうした状況を「憎たらしい」とまで発言するに至っている。
昨年までフェラーリでアロンソのチームメートであったフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)は、最近、ライコネンの不振の原因はアロンソのチームメートであることからくる精神的なものであることは間違いないと語っていた。
だが、ライコネンはそれに対し、オースティンで皮肉をこめた反論を行っている。
「多分、僕は気が変になっているのかもね。正気を失ってね」
「彼(マッサ)が何と言おうと自由だけど、僕には本当の理由が分かっているよ」
そう語ったライコネンだが、かといってその解決策まで分かっているということにはならない。アロンソが去ったとしても、来年は友人でもある4年連続F1チャンピオンのセバスチャン・ベッテル(レッドブル)がチームメートとなる。このことがライコネンにとってはさらに大きなプレッシャーとなってのしかかることになるかもしれない。
だが、チーム代表のマティアッチは、それが重要なのだと言う。
「前向きなプレッシャーだよ」
「常に前向きに物事に向かうためにはプレッシャーがあることが重要なんだ」
スペインの『Marca(マルカ)』にそう語ったマティアッチは、次のように付け加えた。
「我々が問題を抱えていることは分かっているし、それを解決するために取り組み続けていかないとならないんだ」