F1第17戦アメリカGPでのボイコットは回避されたが、小規模チームと大規模チームの溝は大きい。
アメリカGP前にケータハムとマルシャが相次いで破たんしたことを受け、F1の収益分配方法が不公平だという小規模チームの不満が噴出。ロータス、ザウバー、フォース・インディアによるボイコットが懸念される事態となったが、F1最高責任者のバーニー・エクレストンが交渉し、メディアに対し自らの誤りを認めたことで、なんとかボイコットは回避された。
■収益分配の不公平を認めたエクレストン
エクレストンは年間収益の分配方法についてチームと個別に契約を結んでいる。その内容は公表されていないが、フェラーリなどトップチームに多く分配される契約となっていると見られる。
『BBC』は2013年の分配金について、フェラーリが2億ドル(約220億円)以上だったのに対し、マルシャは1400万ドル(約15億円)だったと言われていると伝えている。これに対して中堅チームが1シーズンに費やすコストは1億2000万ドル(約130億円)だという。
エクレストンはこの問題について、「あまりにも多額の金が不適切に分配されている。おそらく私の責任だ」と誤りを認めた。
■今後の展開を見守る小規模チーム
フォース・インディアの副チーム代表ボブ・ファーンリーは、ボイコットが回避されたことを認め、こう語った。
「問題が存在するということは認められた」
「残る疑問は、“その問題を解決できるか”ということだ。だが前進するために、問題が認められたという事実だけでとりあえず現時点では十分だ」
しかし、アメリカGPを訪れていたロータスのチームオーナーであるジェラルド・ロペスは、今後の展開次第だと次のように警告する。
「これから2週間ほどの間にこの話題について何が起きるのか、実に興味深いね」
2014年シーズン末までに問題に対する取り組みがなかった場合、小規模チームらは、トップ6チームで構成されるストラテジーグループについて欧州連合(EU)の競争法に違反していると訴えるのではないかといううわさもある。
■冷ややかな大規模チーム
エクレストンは問題があることは認めたものの、その解決には今ある契約が障害になると話し、契約を「破り捨てる」よう大規模チームを説得しなければならないとしている。
また、トップチームに3台目をエントリーさせる計画もエクレストンは撤回している。
「3台エントリーは忘れてくれ。2台でさえ誰もまかなえないんだ」
しかし、フェラーリやレッドブル、メルセデスAMGなどはすでに3台目の輸送面について検討を始めているようだ。
メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダはこう語る。
「安泰なチームもあれば、来ては去っていくチームもあるのはいつものことだ」
「サードカーにルーキーを乗せるというなら、われわれも参加する」とラウダ。
「またグリッドが埋まるし、新しい画期的なアイデアだ」
メルセデスAMGビジネス部門のエグゼクティブディレクター、トト・ヴォルフも、大企業が勝つのは当たり前だと次のように例えている。
「明日航空会社を設立したいとしたら、それは大変だろう。なぜなら、ルフトハンザに食われてしまうからだ」
■マルシャの復帰は近いか
明るい材料もある。現在管財人の管理下にあるマルシャの救済が近いといううわさだ。
ラウダはドイツのテレビ局『RTL』に対し、チーム買収に名乗りを上げているインドの富豪は「信頼できる」と聞いた、と話している。
また、イギリスのテレビ局『Sky Sports(スカイ・スポーツ)』も、マルシャが最終戦のアブダビGP(23日決勝)に参戦できる可能性があり、すでに2015年シーズンのエントリーも申請したと伝えている。