トロロッソのチーム代表フランツ・トストは、2015年シーズンもジャン-エリック・ベルニュをチームに残したいとの意志を表明した。
数週間前、彼らはダニール・クビアトの来季チームメートにマックス・フェルスタッペンを起用すると発表。経験の浅い17才の若者にステアリングを託すという前代未聞の人選は議論を呼ぶ一方、24才のベルニュはシートを失った。
しかしその後、姉妹チームのレッドブルに激震が走る。大エースのセバスチャン・ベッテルが脱退を発表したのだ。空いた席を埋めるため、同チームは二十才のクビアトをトロロッソから引き抜いた。
こうしてトロロッソもドライバー補充の必要に迫られる。もともと来季トロロッソのシートにいちばん近かったのは、レッドブル若手ドライバー育成プログラム所属のカルロス・サインツJr.だ。フェルスタッペンの台頭に驚いた彼も、ようやく自他ともに認めるナンバーワン候補になった。
ところが今度は、フェルスタッペンとサインツJr.の新人コンビに対する不安の声が高まってきた。いかに若手ドライバーを育てるのが目的のトロロッソとはいえ、二人揃っての若さと経験不足は、前代未聞。トストをはじめとする多くがリスクの高さを指摘するのも、もっともだ。
そして突如、ベルニュ残留がより優れた選択肢となったわけだ。
トストも、それをはっきりと口にする。
「もしジャン-エリックが戦闘力のあるマシンを手にしたら、彼は非常にいい仕事ができるドライバーだと今も確信している」と、トストはアメリカGPの直前、F1公式ウェブサイトに語った。
「彼はそのことを何度となく証明してみせたし、私個人としても、引き続き彼とやっていきたい。だが、レッドブルがどのような決断を下すか、それはまだ分からない」
レッドブルがトストの意見を聞いてベルニュを残すかどうか、その大きなヒントはシーズン終了後のアブダビ合同テストに隠されている。今月25(火)と26(水)の両日ともフェルスタッペンが運転を予定しているのだ。
「いやいや」と、トスト。「それはかなり前に決まっていた。マックス(フェルスタッペン)をたくさん走らせて、マシンやチームをはじめ、もろもろのことに慣れてもらわないとね」
とはいえ、ベルニュ来季残留が最良の選択なのはトストも否定しない。
「F1もいろいろと複雑になってきた。そこで必要になるのが関連性だ。来年、新車を投入する際、それに乗るドライバーが二人とも新人では、前年と関連付けるものがなくなってしまう」
「だから私は、マックス(フェルスタッペン)の隣に陣取るドライバーには経験者が欲しいのだ」
つい最近まではF1以外の可能性も考慮に入れていたベルニュだが、今は、2015年もF1のチャンスが巡ってきますようにと、わらをもつかむ思いだ。
「今年はリタイアが多くて、ずいぶんとポイントを無駄にした。これからもチームと一緒にやっていけたら、互いにいい戦いができると感じている」と、ベルニュはトロロッソの公式ウェブサイトに語っている。
「ぜひ、それを実現したいよ」