ケータハムが破産手続きに入ったことによりF1アメリカGP(11月2日決勝)への出場機会を失った小林可夢偉だが、それでもレース会場となるオースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズに姿を見せ、将来に向けてのチャンスを探っている。
チームメートであるマーカス・エリクソンも同様にオースティンのパドックに顔を見せているが、エリクソンの場合は2,000万ドル(約22億円)とも言われるスポンサー資金を持ち込むことができると言われており、すでに来季はザウバーのシート獲得がほぼ確定的だとも報じられている。
だが、スポンサーを持たない可夢偉にとっては、ケータハムが崩壊した今、残念ながらほかのチームで2015年のレースシートを確保できる可能性は低いと見られている。
■新オーナーを探すケータハムだが望みはほぼ皆無
ケータハムの管財人も、チームの新たなオーナーを探すために可夢偉やエリクソンとともにアメリカに来ているものの、チームはもはやひん死の状態だ。
管財人のフィンバー・オコーネルは、F1ビジネス記者として知られるクリスチャン・シルトに対し、次のように語った。
「中には、コストを負担し、チームを買収することに興味を示している者もいる。だが、残念ながら金曜日(10月24日)からチームの管理を始めたばかりだし、そこまで到達することは論理的に不可能だ」
シルトは、『Autoweek(オートウィーク)』に対し、オコーネルはF1界における状況の進展に乗り遅れないようにオースティンを訪れているのだとしている。
存続の危機に陥っているケータハムやマルシャの買収を持ちかけられたと考えられている人物のひとりが、かつてBARでチーム代表を務めていたデビッド・リチャーズだ。だが、リチャーズはそれに対して興味はないと次のように述べた。
「想像できると思うが、我々はプロドライブ(自身が代表を務めるレーシングカーコンストラクター)において、常にF1の状況を注意深く見守っている。だが、ケータハムやマルシャ、それにもう1チームあると私は考えているが、彼らが苦境に立たされていることは明らかだからね」
オコーネルのケータハム運営をサポートしているのがヘンリー・シナーズという人物だ。彼もまたオースティンを訪れている。そのシナーズはイギリスのテレビ局『Sky(スカイ)』に対し、もう時間切れだと次のように語った。
「もし今後2週間以内に買い手が見つからない場合は、恐らくチームをたたむしかないだろうと感じている」
■可夢偉は控えドライバーも選択肢に?
こうした状況のもと、ケータハムの数百名に及ぶスタッフは現在失業の危機にさらされており、状況の推移を見守っている状態だ。だが、現時点ではチームに関する情報ですら満足に入手できない状態だ。可夢偉でさえ、最新情報の入手に関しては報道に頼るしかない状態だと認めている。
『Speedweek(スピードウィーク)』から、ケータハムがアメリカGPとその翌週に行われるブラジルGP(11月9日決勝)に出場できなくなったことについて質問を受けた可夢偉は次のように答えた。
「誰もそれを僕に伝えてくれませんでした」
「僕はそのことをインターネットで知ったんです。チーム首脳陣は多分、僕や僕のマネジャーに電話する時間もないほど忙しかったんでしょうね」
「僕は今、F1ドライバーとしての自分の将来を確保するために頑張っています」
そう付け加えた可夢偉だが、2015年にF1に残ることができるのであれば、控えドライバー契約でも受け入れる覚悟をしていると考えられている。