フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)の今後の動向に関して大きな関心が寄せられているが、この1週間の間にはさしたる展開は見られなかった。
F1内部関係者たちによれば、アロンソは自分に有利な条件でマクラーレン・ホンダと契約ができるか、あるいは圧倒的な強さを誇るメルセデスAMGへの移籍を目指して1年間F1から離れることを選択するかで揺れているとされている。
■アロンソはマクラーレン以外に行くところはないとF1ボス
F1最高責任者であるバーニー・エクレストンは、F1ビジネス記者として知られるクリスチャン・シルトに「彼(アロンソ)が行けるところはそれほど多くないだろう?」と語ると、次のように付け加えた。
「マクラーレン以外にはないだろう」
スペインの『AS』は、アロンソはポルシェから具体的なオファーを受け取ったと主張している。ポルシェは今季から有名なル・マン24時間レースを有することで知られるWEC(世界耐久選手権)の最高峰カテゴリーであるLMP1にエントリーしているが、そこにはすでにアロンソと親しい元レッドブルドライバーのマーク・ウェバーも所属している。
フェラーリがアロンソの後任としてセバスチャン・ベッテルと契約したのはすでに事実だとして受け止められているが、現時点ではまだ正式な発表は行われていない。フェラーリではアロンソの状況が不透明な間は正式発表を行うのを待っている状況のようだ。
■すでにフェラーリ+ベッテル対策を講じるレッドブル
しかし、レッドブルはベッテルがフェラーリに移籍することを隠す様子もない。レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、ベッテルがフェラーリに加入するタイミングなどの詳細もすでに確定されており、これによってベッテルが今季最終戦のアブダビGP(11月23日決勝)の直後に行われるF1公式テストにおいてフェラーリでテストを行うことを妨げたのだと語った。
「セバスチャンがそのテストでフェラーリから走ることはできない」
ドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』にそう語ったマルコは、次のように付け加えた。
「それははっきりしているし、我々はセバスチャンとそのことについて話もしてある」
ベッテルが今季限りでレッドブルを離脱し、フェラーリへ加入することはすでに数週間前に明らかになっているにもかかわらず、まだそれが公式に発表されないというのは奇妙な状況ではある。
■来季もフェラーリとベッテルは苦戦?
そして、そうした状況にあるにもかかわらず、ベッテルが来季フェラーリで成功を収めることは難しいのではないかとの話題がすでにメディアに取り上げられる状況となっている。
今月中旬に正式にフェラーリを離脱した前会長のルカ・ディ・モンテゼモーロは、ベッテルのフェラーリ加入に関して次のように発言した。
「ベッテルがフェラーリでいいドライバーになれるかどうかと尋ねられれば、答えはイエスだよ」
「彼は若いし、すでに4度F1チャンピオンに輝いている。非常にいい人物だし、フェラーリにとってはいい顧客でもある。つまりすべての条件が整っているんだ。活躍できない理由などないだろう?」
だが、フェラーリ情報に精通しているとされる『Autosprint(オートスプリント)』は、2015年型車の風洞テストを行った結果、その数値は失望の結果に終わった今季型車のものよりさらに悪かったと報じている。
さらに、かつて4度F1タイトルを獲得し、フェラーリにも在籍していたことのある伝説的元F1ドライバーであるアラン・プロストは、『AS』に対して次のように述べた。
「彼ら(フェラーリ)にはすべてを再構築するための時間が必要だ。最近までさまざまなことに対処してきているが、それほど短期間に修復することはできないよ」
■フェラーリとベッテルが組むのは前向きなことだとプロスト
プロストは、ベッテルでさえその特効薬にはならないだろうと次のように続けた。
「アロンソがこれまでの数年で証明してきているよ。フェラーリでは1人のドライバーの力で修復をすることはできないことをね。管理部門、技術部門、そしてドライバーのすべてがうまくかみ合わなくてはならないんだ」
「2015年はベッテルにとっては難しい年になるだろう。だが、私は彼の移籍は前向きなことだととらえているよ。ひとつのチームに長く所属してそこで何度もチャンピオンになれば、やる気も損なわれてくるし新たなチャレンジがしたいと思うのは普通のことだからね」
プロストは、最後に次のようなコメントで締めくくっている。
「彼は若いし、フェラーリでの将来を築き上げていくための時間はたっぷりある。彼の立場は、すぐにでも(F1タイトルを)勝ち取りたいと願っているフェルナンドとは異なるからね」