レッドブルのダニエル・リカルドが、チームメートであるセバスチャン・ベッテルの態度や振る舞いは素晴らしいものだと語った。
昨年、最年少で4年連続F1タイトルを獲得するという偉業を達成したベッテルだったが、今季はV6ターボを搭載したF1カーになじめず苦しいシーズンを迎えることになった。今季からチームメートとなったリカルドにも大きく負け越すという事態に陥ったベッテルは、今季限りでレッドブルを離脱するという決断をした。
今季、すでにメルセデスAMG以外では唯一3勝をあげる活躍を見せ、F1トップドライバーとしての地位を確立したリカルドは、ベッテルの離脱により来季は名実ともにレッドブルのナンバー1ドライバーとなる。
そのリカルドは、自分の活躍が結果としてベッテルのレッドブル離脱の引き金となったものの、ベッテルは今季自分が置かれた状況に対して思慮深く対応していたと語った。
「彼(ベッテル)は初日から僕に敬意を払ってくれていたし、僕が3勝目をあげた後もそれは変わらなかった」
ブラジルの『Globo(グローボ)』にそう語ったリカルドは、次のように続けた。
「彼だって今季勝利したかったはずだ。だから心の内にはいら立ちを抱えているはずなのに、彼は一度もそういうそぶりを見せなかった」
「彼は立派だったよ。彼は僕に対して、あるいは僕の前では何も言わなかった。恐らく、彼は表に出さないようにしていたんだろうけど、僕たちの前でそういうことを示すことはなかったからね」
いまだ正式発表はないものの、ベッテルは来季フェラーリへ移籍するものだと信じられている。リカルドは、ベッテルはフェラーリへ行ってもいい仕事をするだろうと次のように続けた。
「彼の運転能力については誰もがテレビで見て知っているだろうけど、彼の仕事に対する倫理観や、エンジニアたちとの仕事の仕方は非常に素晴らしいものだよ」
「それを陰から見ることができたのはよかった。彼がフェラーリ、あるいはどこかほかのトップチームに行くにしろ、彼はそこで優れたリーダーシップを発揮するだろうと思うよ」
一方、レッドブルの総帥であるディートリッヒ・マテシッツは、リカルドについて、ベッテルの後を継いでチームの中でそうしたリーダー的役割を十分に担うことができる存在だと考えているようだ。
ベッテルのチーム離脱が発表された後、マテシッツはメルボルンの『The Age(エイジ)』紙に次のように語った。
「もし我々に“チームリーダー”がいなければ、状況も少しばかり違うものになっていただろう」
「だが、我々はダニエルがその役目を負ってくれることは分かっていたし、とても助かったよ」