先週末のF1第16戦ロシアGPでルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグが1-2フィニッシュ、晴れて今季F1コンストラクターズ世界選手権を制したメルセデスAMG。しかし、チームCEOのトト・ヴォルフも認めるように、彼らは現在、F1の「悪役」を演じている。
ライバルのエンジンメーカー、フェラーリとルノーが足踏みするのをよそにメルセデスは好成績をほしいままにしているからだ。しかも、厳格なエンジン規格まわりの規則を2015年は緩めようとの動きも、彼らはかたくなに拒む。
第15戦日本GPでジュール・ビアンキ(マルシャ)に起きた事故の影響のみならず、政治的にも彼らの姿勢は潔さがないとの評判がレース後の祝賀ムードに水を差すかっこうとなった。
ヴォルフはドイツ『Speedweek(スピードウィーク)』に、次のように話す。「今日は、ライバルとの差がどうとか政治の話はしたくない」
「だがエンジン開発の凍結やその他の議論は、何かが変だ」
「来年はどのメーカーも約50パーセントを変更できるのだ。それにわれわれのアドバンテージはエンジンだけではない。シャシーも非常に優れている」
「規則に忠実だからといって突然、悪役にされるのは好きじゃない。もっとも、これが成功の代償なのかもね」
話題を変えよう。2014年にメルセデスAMGがこれほどの好成績を収めた功労者のひとりとしてヴォルフは、あるエンジニアの名前を挙げた。F1から身を引いているロス・ブラウンだ。
「ひとえにロス(ブラウン)がチームの基礎を築いたのだ。チャンピオンのトロフィーは彼のものでもある」と、ヴォルフ。
コンストラクターズ選手権が決まった今、注目はドライバーズ選手権を賭けたルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグの一騎打ちに集まる。ダニエル・リカルド(レッドブル)もわずかな可能性を残すが、ロシアGPでチャンスはさらに遠のいた。
第13戦イタリアGPを皮切りに、シンガポール、日本、ロシアと四連勝中のハミルトンは、選手権2番手のロズベルグに17ポイントの差をつけている。残すはアメリカ、ブラジル、そして二倍のポイントが与えられる最終戦アブダビのみだ。
フェラーリやルノーの元F1ドライバー、パトリック・タンベイは、フランス『RMC』に次のように語った。「数字の上では、タイトルは最後の一戦まで決まらない」
「だが、戦いぶりや心理状態からみてルイス・ハミルトンの方が有利だ。ただし、17ポイント差は十分といえない」
タンベイはバルテリ・ボッタス(ウィリアムズ)にも注目している。選手権3番手にいるリカルドの注目はメルセデスAMGの両ドライバーを離れ、今やバックミラーに映るボッタスに向いている。
「彼(ボッタス)のレースは非常に力強い」と、タンベイ。「ウィリアムズで常に勢いを増している」
「彼はチームメートのフェリペ・マッサを凌駕(りょうが)しつつある。場合によってはドライバーズ選手権3位の座をダニエル・リカルドから奪うかもしれない」
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