オーストリアの『Sportwoche(シュポルトヴォッヘ)』は、日本では医師たちがビアンキの両親と、彼に施されている生命維持装置のスイッチを切る可能性も含めての話し合いを行ったと報じている。それほどビアンキの脳が受けた損傷の程度はひどいということだ。
こうした状況のもと、F1ドライバーたちを取り巻く感情的な環境もしばらく継続しそうなことは明らかだ。
スイスの『Blick(ブリック)』紙は、ロシアGP(第16戦)を終えて母国へ向かうプライベートジェットの中でパーティーを楽しみ、笑いながら写真に収まったドライバーたちのことを取り上げ、「彼らはすでにビアンキのことを忘れてしまったのだろうか?」と書いている。
ロシアGPが行われたソチでは、FIA(国際自動車連盟)会長のジャン・トッドに対する非難の嵐も起きていた。トッドはソチでグリッド上のF1ドライバーたち一人ずつと握手を交わしていたが、不機嫌そうな顔をしたフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)とだけは握手を交わさなかったためだ。
これに関し、トッドは、アロンソとはその前にすでにハグをしていたのだと明かして反論している。
スペインの『AS』は、トッドは深刻な状態に陥っているビアンキとはお互いによく知る友人であるアロンソを無視したとの指摘がなされたことに「ひどく落胆していた」とのFIAの広報担当者であるマッテオ・ボンチアーニのコメントを紹介している。
また、かつて4度F1チャンピオンに輝いた伝説的元F1ドライバーであるアラン・プロストが、ビアンキの事故を受け、管理団体であるFIAへの批判を強めている。プロストは、『Telegraph(テレグラフ)』に次のように語った。
「(これまでに改善されてきたのは)クルマとサーキットだ。そしてひとつだけまだ手つかずのものがあった。それがコースにばかげたトラック(作業車)があったことだ」
「私は激怒していたよ」とプロストは付け加えている。
一方、マルシャのスポーティングディレクターであるグレアム・ロウドンは、オースティンで行われるアメリカGP(11月2日決勝)では、カリフォルニア出身のアメリカ人控えドライバー、アレキサンダー・ロッシをマックス・チルトンのチームメートとして起用するのではないかとのうわさに対し、はっきりとしたコメントは行わず、次のように述べるのみだった。
「何が我々にとって最善の策となるか、時間をかけて判断しよう」