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再燃するF1キャノピー問題

2014年10月09日(木)19:46 pm

先週末のF1日本GP(第15戦)決勝で起こったジュール・ビアンキ(マルシャ)の悲惨なクラッシュ事故をきっかけに、安全性が高められていると言われる現在のF1カーにおいて唯一の、そして最大の弱点であると指摘されている部分についての議論も再び大きくなっている。

それは、ドライバーの頭がむき出しの状態となっているというフォーミュラカーの特性とも言える部分だ。

2009年には、当時フェラーリにいたフェリペ・マッサが、ハンガリーGPで前を走行していたクルマから落ちた部品が頭部を直撃して大けがを負うという事故があった。

さらに、2012年には女性ドライバーのマリア・デ・ビロタが、くしくもマルシャのF1カーでのテスト走行中にコース脇にとめてあったトラックに激突するという大事故が発生。そのときにもF1そしてFIAはロールケージやキャノピーのようなものでF1のコックピットを覆うことができないかどうかの調査検討を行っていた。

だが、ドイツの『Bild(ビルト)』紙は今週、そのアイデアに最も強く反対したのがレッドブルとメルセデスAMGだったと報じている。記事にはレッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーが、その対策案は「衝撃的と言えるほどにみにくい」と語った言葉が引用されている。

『Bild(ビルト)』は、さらにF1最高責任者であるバーニー・エクレストンが、コックピットをふさぐということはF1の基本概念に反するものだと主張したことにより、その対策案は完全に見送られることになったと付け加えている。

『Telegraph(テレグラフ)』のオリバー・ブラウン記者は、「それなら、ビアンキのご家族にそう話してみたらどうだ」と書き、次のように論じている。

「人命の尊厳を危うくするような形で、スポーツとしての尊厳を守る価値などないだろう」

一方で、ビアンキの事故に関してF1が過剰反応を示すべきではないと考える者もいる。

そのひとりが、かつて1995年に自分自身もひん死の大けがを負ったことがある元F1チャンピオンのミカ・ハッキネンだ。そのハッキネンの事故は、その後コックピットの両側を高くし、よりドライバーの頭部を保護できるよう工夫されたサイドプロテクター導入のきっかけのひとつとなっていた。ハッキネンは、翌年の1996年にはレース復帰を果たし、その後1998年と1999年に2度のF1チャンピオンに輝いている。

「この(ビアンキの)事故に関して、今後総合的な分析が行われることになるのは間違いない」

自身のスポンサーである『Hermes(エルメス)』のインタビューにそう語ったハッキネンは次のように続けた。

「だが、F1ではこれまで20年以上にわたって死亡事故が起きていないことも忘れてはならないよ。それは、かなり長いものだ」

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