マクラーレン・ホンダ、限界か?

ビアンキ事故で疑問、次々と

2014年10月07日(火)3:58 am

5日(日)のF1第15戦日本GP決勝で起きたジュール・ビアンキ(マルシャ)の大クラッシュ。その余波はまだ推し量るべくもないが、F1界の関心は早くも、雨中のレースを事故で赤旗終了に追い込んだ当時の状況に向いている。

もともと台風18号は数日前から人々の話題に上っていた。しかし今は、雨によるレース中断、セーフティカー導入、終盤の日照について多くの疑問が投げかけられている。

■ハミルトンとスーティル

レースに優勝したルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)。「僕個人は、(それほどひどいと)感じなかった」

対照的にエイドリアン・スーティル(ザウバー)は、日没につれてサーキットでもっとも危険な箇所の判断がだんだん難しくなったと語る。結局、彼はマシンをクラッシュさせたが、その回収作業がビアンキの事故をより深刻なものにした。

「日は、かなり落ちていた。路面もすべりやすかった。それが原因でマシンを持っていかれたんだ」と、スーティル。

「ジュールはそのわずか一周後、僕とまったく同じワナにはまった。日は沈みかかっていたし、川が何本もコースを横切っていた」

■マッサの場合

ビアンキの友人であるフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)。彼はビアンキを見舞うためにサーキットを去る際、「レースを止めるよう」無線で「叫んでいた」ことを明らかにした。

「ほんとうに危なかった」と、マッサ。

「僕の意見としては、レースをスタートするのが早すぎた。序盤はとても運転できたものではなかった」。さらにマッサはいう。「レースを止めるのも遅すぎたよ」

■ライコネンの場合

マッサに反してキミ・ライコネン(フェラーリ)は何人かのドライバーと同様、ビアンキのクラッシュはただの偶然が重なった事故との意見だ。

彼はフィンランドのテレビ局MTV3に、こう話す。「僕は、あれよりもっと過酷な状況でレースをしたことがある」

「路面が安全だったかどうか、僕の口からはいえない。でもレースを止められる前まで、すべて問題なく行っていた」

「安全だったかって?いったい安全て何だい?」

「ウェットはいつだって大変だよ。スピンしやすいから。すり減ったタイヤは特にね。あの場合、いろいろな不運が重なったんだと思う」

「この事故から僕らは学ぶべきだと思う。そして二度と起きてはならない」と、ライコネンは付け加えた。

■ビアンキの先輩たちは

今から二十年前の鈴鹿サーキット。まさに同じコーナーで、今回とウリ二つの事故が起きている。1994年日本GPだ。やはり雨の状況で、マクラーレン・プジョーに乗るマーティン・ブランドルがダンロップカーブでスピン。ブランドルより以前にクラッシュしたマシンの撤去にあたっていたマーシャルを跳ね、大怪我を負わせたのだ。

「レースの最中にクレーンがコース内に入るのは、どうなんだろうね」と話すのは、元F1ドライバーのオリビエ・パニス。

「何年も同じ話題を繰り返しているが、重機がコースに入るのはよくないよ」

「ひどい事故が起きないと真剣に取り上げてもらえないのは残念だ」

母国フランスの後輩ビアンキの事故についてパニスは、少なくともルール改正のきっかけにすべきだと主張する。

「セーフティカーを出動させるか赤旗でレースを止めない限り、トラクターの類はコースに入れないようにするんだ」

ブランドルは、5日(日)の事故を見て1994年を鮮明に思い出したという。

「黄旗が出ていたとか黄旗二本の振動だったとかいう人に教えてあげよう。そんなものでスピンは止まらない」

「私が懸念するのは、コース上の(各車両)だ。向こうは背が高すぎるし、こっちは地面に寝そべるように座っているんだ」

パニスよりさらに年上のフランス人元F1ドライバー、パトリック・タンベイ。彼はラジオ局『RMC』に、次のように話す。「マシンは進化した。サーキットも進化した」

「だが、コース上では今もトラクターのような重機が作業を行なっている。これは受け入れられない」

■その他の意見

他の意見はそこまで厳しくない。F1世界王者のセバスチャン・ベッテル(レッドブル)は、「モータースポーツが危険であることは」どのドライバーも分かっていると話す。今回の事故についてメルセデスAMGのニキ・ラウダは、「不幸な状況の連鎖」だと分析する。

ラウダはドイツ『Welt(ヴェルト)』紙に、次のように語った。「今日(の行動)で何かが間違っていたとはいえない」

現GPDA(F1ドライバーズ協会)会長のアレックス・ブルツ。「明らかに多くの疑問が残るね。後からは、どうとでもいえる」

「ただ、長年FIA(国際自動車連盟)がドライバーの安全を優先しているのは明らかだ。そのことは強調しておきたい」

「チャーリー・ホワイティングが行なった決断はどれも問題ない。FIAは長年、安全性向上のためにがんばってきた。5日(日)も、あの事故まではすべてうまく行っていた」

「高速で制御を失ったマシンは、どこに飛ぶか分からない爆弾と同じだ。リスクは常に存在する。そのことはみんな理解している」

ウィリアムズの技術主任ロブ・スメドレイ。「コックピットの安全保持についての問題は、2009年ハンガリーGPでフェリペ・マッサ(当時フェラーリ)の身に起きた、あわやの大事故以来、F1のお偉方が話し合っている」

「まだ決め手に欠けるのだ」と、スメドレイはドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に語った。

「もしコックピットがドーム状に覆われていたら、ジュールにとって何かが変わっただろうか?私には見当もつかない。だが今となっては、ジュールにドーム型のコックピットがあったらと思う」

しかしスメドレイも、ビアンキは「偶然に偶然が重なった事故」の犠牲者だったとの意見に賛成だ。

「耐衝撃テストも行われているが、さすがにトラクターとの衝突までは想定していない」と、スメドレイ。「あれは単に、万に一つの事故だった」

さらに同じ5日(日)、55才のイタリア人元F1ドライバー、アンドレア・デ・チェザリスがローマ近郊の道路で二輪車の事故を起こし、亡くなったのは、それこそ不幸の連鎖としかいいようがない。

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