無線などによるドライバーへの指示を禁止する新ルールについて、メルセデスAMG技術部門のエグゼクティブディレクターであるパディ・ロウは、トラブルが発生した場合は制限すべきでないと考えている。
このルールについてはチームから反対意見が出たため、2014年はドライビングに関する指示のみが禁止され、2015年以降はマシンのパフォーマンスに関する指示も禁止されることになった。
新ルールが導入されたF1第14戦シンガポールGPでは、メルセデスAMGのニコ・ロズベルグのステアリングにトラブルが発生。これを受けてチームのビジネス部門エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフは、こうしたトラブル発生時に無線で指示ができないのは問題だと指摘した。
■トラブル発生時の指示は認められるとロウ
しかしロウは、新ルールでもトラブル発生時には指示することが認められるはずだから問題ないという考えだ。
「ある程度は、やり方が変わるだろう。だが、ピットウォールにいる者にとって(無線を使う)主な目的は2つある。1つは戦略。ピットストップやタイヤ選択などだ」
「この点については、変化は何もない」
「2つ目はトラブルを解決すること。アクシデントで負ったダメージやメカニカルトラブルなどだ。安全性に影響を及ぼしかねない問題も含まれる」
「この点については、無線通信に関するルールにたとえ何と書いてあったとしても、クルマに発生したトラブルの解消をルールが妨げることはできないし、妨げるべきではない」とロウは語っている。
■トラブル発生時にドライバーが自力で対処することは不可能
レース中にトラブルが発生した場合については、ドライバーからも懸念の声が上がっている。
例えばブレーキがオーバーヒートした場合だ。シンガポールで『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』がドライバーに尋ねた。
ブレーキのオーバーヒートをチームからの指示なしで察知する方法を聞かれたニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)は、「ブレーキペダルが長くなったのに気づくだろうね」と答えた。
しかし、それに対処するための方法、例えばブレーキバランスを前寄りにするのか後ろ寄りにするのかなどが分かるのかと聞かれると、ヒュルケンベルグは「いい質問だ」とだけ答えた。
ジェンソン・バトンも、ドライバーだけでは対処できないだろうと認めている。
「そういう場合は、たぶんチームから情報をもらって5秒ペナルティーをもらったほうがマシだね」とバトンは話している。