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エンジン開発凍結緩和がコスト増につながるのは困るとF1チーム

2014年09月25日(木)18:33 pm

メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフが、仮に現在のF1エンジン開発の「凍結」ルールが緩和されることになれば、現在財政的に苦しんでいるチームがそれによる犠牲者となってしまうだろうと主張している。

V6ターボによる新たな時代を迎えたF1だが、その初年度である今季はメルセデスエンジンが圧倒的な強さを誇っている。そうした中、苦戦が続くライバルのフェラーリとルノーにそれに追いつく機会を与えるための話し合いが舞台裏で行われている。

唯一の女性チーム代表であるザウバーのモニシャ・カルテンボーンは次のように語った。

「今シーズを見れば、エンジンの違いが大きな差を生んでいることが分かります」

ザウバーはフェラーリエンジンを使用しているが、カルテンボーンはそのエンジンのために今年は「チーム史上最悪のシーズン」となっていると主張している。

コスト削減を主たる目的として、F1ではエンジンに関する厳格な承認ルールが運用されている。パフォーマンス向上に関する開発行為を厳しく制限するもので、一般的にはエンジン開発の「凍結」という表現がよく使われている。

現在のルールのもとでは、各エンジンメーカーは2015年シーズンに向けた承認を得るまでの間、そのパワーユニットの設計に関して、今季のエンジンの48パーセントを上限とする範囲でしか変更を行うことができない。

しかし、メルセデスのライバルたち、特にフェラーリでは、このルールを見直し、さらに開発の自由度を高められるよう、舞台裏での働きかけを行っている。

現在の「凍結」の運用においては、もしエンジンメーカーがパフォーマンス向上に関連する設計変更や改良を行いたい場合、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が定めたルールの範囲で一定数の「トーケン」と呼ばれる「変更券」的なものと引き換えでそれを行うことができる仕組みになっている。

フェラーリでは、シーズン中の設計見直しをより柔軟にするために、この「トーケン」を少なくともあと8枚多く設けて欲しいと訴えている。

予想された通り、こうした動きに関してメルセデスAMGは不快感を示している。

ヴォルフは、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。

「我々には最高のエンジンがあるからと主張したところで間が抜けた議論になってしまうだろう。だから我々としてはまったく興味はないよ」

「一方で、我々はコストの問題を提起しなくてはならない」

「8枚トーケンを増やすということは、何千万ユーロ(何十億円)ものコストが増えるということだ。それを顧客が負担するのでなければ、いったい誰が支払うんだい?」

エンジン開発「凍結」の緩和は、まさにこの理由によって多くの反論を生むことになるだろう。

メルセデス、フェラーリ、そしてルノーの各メーカーからエンジンの供給を受けるためにF1チームが負担する費用は、すでに昨年までのV8エンジンよりもはるかに高額なものとなっており、いくつかのチームではコスト増のために生き残りさえ難しい状況になっていると言われている。

「私たちは現在F1におけるコスト増大を防ごうとしていますが、その最中にも年間2,000万ポンド(約36億円)もの金額をエンジンのために支払っているんです」と語るのは、メルセデスエンジンの供給を受けるウィリアムズのチーム副代表クレア・ウィリアムズだ。

今季苦戦を強いられ、もしもフェラーリエンジンが強力になればその恩恵を受けられるであろうザウバーのカルテンボーンでさえ、エンジン開発の「凍結」緩和により、さらに費用負担が増えることになるのであればあまり賛成はできないと次のように語った。

「私たちは、一定の要因に基づいてエンジン開発が許されるという考えを強く支持します。ですが、それによって私たち顧客チームが実際にそのコストを負担しなくてはならないというような結果となることを歓迎するものではありません」

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