FIA(国際自動車連盟)が打ち出した無線会話の規制を破ったチームがあるとして、マクラーレンがレッドブルを非難している。
FIAは「ドライビング」に関する無線連絡を大幅に規制する方針だったが、F1第14戦シンガポールGP開催直前にチーム側と妥協が成立。最終的には、ドライバーに対する運転の指導のみが禁止された。
それでも、何とかできるだけドライバーにマシンの実力を引き出させようと連絡を「暗号化」してごまかすチームが現れるのではとの疑いは残った。
取り締まる方のFIAも、困難な作業であることは自覚している。チャーリー・ホワイティングが例のひとつに上げたのは、「オイル補充」という何気ない一言だけの連絡だ。これを決まって第1コーナーと第10コーナーで行うと、あらかじめ定めた操作の実行を意味するのである。
「みんなのいうとおりだ」と、シンガポールで報道陣に話すホワイティング。「物ごとはそう簡単には行かないよ」
規制がはじめて実施されたシンガポールGP翌日の22日(月)、さっそく最初の問題が起きた。
マクラーレンのレースディレクター、エリック・ブーリエは、同じイギリスのレッドブルが規制に違反、ダニエル・リカルド(レッドブル)に対し、複数回にわたって暗号メッセージを届けた疑いがあるとクレームをつけたのだ。
「(規制で)かえって忙しくなった。レッドブルが二度もリカルドに行なった連絡が他にもないかどうか、他チームのやりとりをチェックしなければならないからだ」
「あれは何らかの暗号だと思う。私の指摘を待つまでもなく、調査するのはFIAの仕事だがね」と、ブーリエ。
技術上の連絡と見せかけ、レッドブルはリカルドにマシンをもっと速く運転する方法を指導していたとブーリエは疑っている。
「彼らは、”トラブルを避けるよう次のとおりにしろ”と、何だか変なメッセージを送っていた」「一度ならまだ分かるが、二度も三度もやられては、ほんとうに彼(リカルド)に何のトラブルが生じているのか、怪しいものだ」