フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)が元チームメートのフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)に対して、当面、現チームに残るよう助言を行なった、
昨年終わりに跳ね馬のシートを失ったブラジルのマッサは今季、ウィリアムズで生まれ変わったかのように好調だ。古巣の栄華も今は昔。フェラーリは、誰の目にも迷宮に入り込んだかのように見える。
規則大変更でV6ターボ時代になってもトンネルの出口は見えず、スランプを認めざるを得ないフェラーリ。数ヶ月に及ぶ粛清で、チーム代表のステファノ・ドメニカリ、エンジン責任者のルカ・マルモリーニ、さらにフェラーリの象徴ルカ・ディ・モンテゼモーロまでもがマラネロを去った。
「正直いって、フェラーリで起きていることは不思議でも何でもない」と、シンガポールでスペインの日刊スポーツ紙『AS』に語るマッサ。2006年に同チーム入りした彼は、偉大なミハエル・シューマッハとともに黄金期を支えた一人だ。
「フェラーリにはがんばってほしいと心の底から思う」
ここで『AS』はひとつの疑問をマッサに投げかけた。フェラーリのチーム内に吹き荒れる嵐に乗じてアロンソもチームを変わり、マッサのように、より充実したレース生活を新天地に求めるべきだろうか。
マッサの答えは「ノー」だ。
「僕とは状況が違う。もし僕が彼(アロンソ)の立場だったら、マクラーレンには行かない」
「メルセデスAMGなら話は別だ。レッドブルは、微妙だな」
「彼は勝てるチームに行くべきだよ。ホンダとマクラーレンの組み合わせは魅力だが、来年勝つのは無理だ」
しかも、5年がんばってひとつもタイトルを取れずにフェラーリを出て行くのは敗退に等しい。
「そう思われても仕方ないね」と、マッサ。
「だがアロンソはバカじゃない。自分をよく知っているよ。きっと来年もフェラーリに残るだろう。でも、F1の世界は何が起こるか分からない」
マッサの代わりに今年フェラーリに戻ってきたのは、2007年F1世界王者キミ・ライコネンだ。その彼が、まったくアロンソに歯がたたないのはなぜだろう。マッサに驚きはないのだろうか。
「別に」と、マッサはきっぱり。「アロンソに接近しようと思ったら完ぺきな仕事をしなければならない。精密機械のようにね。ということで、僕は驚かないよ」