F1エンジン開発「凍結」の緩和に向けた動きに、トト・ヴォルフが待ったをかけた。2014年シーズンを断トツでリードするメルセデスAMGとしては当然の反応だ。
メルセデスが製造するV6パワーユニットは、ライバルのルノーやフェラーリに比べて明らかに優れている。
パワーユニットは、規格としてFIA(国際自動車連盟)のホモロゲーション(認定)を受けると一切の改良ができない。ただし不振に苦しむメーカーは、「トークン」と呼ばれる制度の下、次の2015年に向けてユニットの半分近い48%まで設計の見直しが可能だ。
ところが今、こうした制度について話し合いが行われている。2014年のように一メーカーの明らかな先行が今後、再現された場合、シーズン中に追いつく機会を他メーカーに与えようというものだ。
「F1が、エンジンの違いで結果が決まるものであってはなりません」とシンガポールで話すのは、非力なフェラーリ・パワーを使用するザウバー代表、モニシャ・カルテンボーンだ。
「エンジンが果たす役割は役割として、あれほどの差がつくのはダメでしょう」
各チーム首脳は最近、シーズン中一回のエンジン追加開発を話し合ったらしく、ザウバー以外にも非メルセデス系チームの多くは、よい考えだと思っている。
メルセデス側のチームは、もちろんこれに反対だ。
「冗談じゃない!」と、ウィリアムズ副代表のクレア・ウィリアムズ。彼女のチームは2014年、エンジンをルノーからメルセデスに変更、それまでのスランプを脱している。
「嫌でもシーズンは始まるもの。自分たちのマシンがパッとしないからといって、なぜ規則を変えなければいけないの?」と、ウィリアムズは主張する。
メルセデスAMGのCEO、ヴォルフも同じ考えだ。
「エンジンの追加開発は、まったくのナンセンスだ」と、彼はドイツ『Speedweek(スピードウィーク)』に語る。
「毎年2月末日のホモロゲーション期限までに解決しない問題があるとして、その三ヶ月後に何が変わる?その理由を教えてほしいね」