小規模F1チームではいずれも存続に向けて苦しい状況に置かれていると言われているが、マルシャの先行きに関してもかなり不透明な状況となっているようだ。
ドライバーのジュール・ビアンキも、来シーズン以降もマルシャでドライブすることになるかどうかは分からないと語っている。
■来季のことは何も決まっていないとビアンキ
フェラーリの若手ドライバー育成プログラムに所属するビアンキは、その後押しを受けて昨年マルシャでF1デビュー。今季は第6戦モナコGPでチームに設立以来初めてのポイントをもたらすなど、印象的な活躍を示してきている。
だが、先週末にフォーミュラ・ルノー3.5シリーズのレースが行われたハンガロリンクを訪れていたビアンキは、『Autosport(オートスポーツ)』のロシア版に対し、次のように語った。
「来年は自分がどこにいるのか分からないんだ」
「明確になって欲しいとは思うけれど、現時点では何一つ確実なことは分かっていないよ」
そう述べたビアンキは、次のように付け加えた。
「来年に向けて最善の選択肢を見つけようとはしているけれど、今は今シーズン残りのレースに集中していくよ」
ビアンキの将来が不透明な理由のひとつには、現在のフェラーリの組織再編があるだろう。これによってフェラーリのドライバー体制にも影響が出るかもしれないと言われており、うわさではこれを機にフェルナンド・アロンソが来季からスタートするマクラーレン-ホンダへの移籍を検討するかもしれないともされている。また、キミ・ライコネンのほうも今季はここまで目立った活躍もできない状態が続いており、先行きがどうなるかは不透明だとされている。
元F1ドライバーであり、現在は『BBC』でF1解説者を務めるアラン・マクニッシュは次のように語った。
「ライコネンは、すでに現在の契約が満了したら恐らくF1を引退することになるだろうと語っていた」
「すでにそういう発言を行ったドライバーが、来年どれだけ真剣にやれるかを問う必要があるだろう」
「もし私がフェラーリの責任者であれば、今季が終了するまでにライコネンにはもっといい成績を残して欲しいと思うだろうし、そうでなければほかの選択肢を考えるだろうね」
■財政面で苦境に立つマルシャ
また、もうひとつ不透明な要素が、現在フェラーリからV6エンジンによるパワーユニットを購入しているマルシャの将来だ。マルシャでは財政危機に見舞われており、フェラーリへのエンジン代金支払いも遅れていると報じられている。
マルシャのチーム代表であるジョン・ブースは、ロシアの『Championat(カンピオナ)』に次のように語った。
「我々がジュールの仕事に非常に満足しているのは言うまでもないし、もちろん2015年も彼をキープしたいと考えているよ」
「だが、もしフェラーリが彼を欲しいと言えば、彼がフェラーリに所属しているのははっきりとしたことだ」
「我々はフェラーリファミリーとして働くことを楽しんでいるし、関係は非常にいいよ」
「我々はドライバーたちと交渉もしている。だが、ドライバーラインアップの発表は、可能であれば、12月に行うことになるだろう」
第12戦のベルギーGPでは、いったん正ドライバーのマックス・チルトンに代えてアメリカ人テストドライバーのアレキサンダー・ロッシを起用すると発表したものの、ロッシは結局フリー走行1回目に出走したのみで、フリー走行2回目以降は再びチルトンがステアリングを握るというドタバタ劇を演じていたマルシャ。だが、ブースはそのロッシが今後シートを得る可能性もあると認めている。
■どうなる? チームの運営基盤
だが、マルシャにとって最も重要なことは、その経営基盤であることは間違いないだろう。今季序盤に、それまでチームオーナーであったロシアのスーパーカーメーカーであるマルシャ・モーターズとすでに決別したことが明らかとなっていたマルシャだが、現在はマルシャ・コミュニケーションズと呼ばれる会社がオーナーだということになっている。
ブースは次のように続けた。
「F1マルシャとチェグラコフ氏(アンドレイ・チェグラコフ/マルシャ・モーターズ代表)を代表することを誇りに思う」
「現時点ではスーパーカー事業は行われていないことは分かっているが、将来再び復活することを期待している」
しかし、ブースは、2015年以降も投資家たちからの支援を受けられるのかと質問されると、次のように答え、マルシャの将来がどうなるかは明確ではないことをほのめかしている。
「それについて話をすることはできないんだ。それは内部での話し合いに限定される機密事項だからね」