F1シンガポールGP(21日決勝)から、ピットからドライバーへの無線による指示で、パフォーマンスに関する内容は一切禁止されることになった。
F1統括団体FIA(国際自動車連盟)競技委員長のチャーリー・ホワイティングは、11日(木)に各チームに対して通達を送り、ドライバーは「単独かつ補助なしで車両を運転しなければならない」というレギュレーション(20条-1)を「厳格に適用」する旨を知らせた。
FIAはこの変更を「即座に実施する」としている。
これは、世界のトップクラスであるはずのF1ドライバーが運転の仕方をエンジニアに指示されていることが、F1人気低下の一因だという主張に対して取られた処置だ。
「したがって、ピットからドライバーへの無線に、車両とドライバーのパフォーマンスに関する情報は一切含めてはならない」と通達にはある。
一方、レース中の戦略や安全面に関する情報は認められるとしている。
■燃料、タイヤ、エンジンマップ等の指示は一切禁止
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、この規制の詳細についてホワイティングに質問した。
レース中の燃料やタイヤ、ブレーキの状態などについて伝えることは「それはルール違反に当たる」とホワイティングは話す。
「ドライバーはステアリング(の液晶)で燃料消費量を見ることができる。一般の車と同じだ」
エンジンマップや燃料混合比、エネルギー回生装置の充電などに関する指示も「もちろんだめだ。それは明らかに20条-1に反する」とホワイティング。
ただし、チームメート同士の順位を入れ替えるチームオーダーや、コース上の混雑状況などを伝えることは可能だという。
また、違反した場合の処罰は「スチュワードの裁量」にゆだねられるが、おそらく罰金ではなくタイム加算などの罰則が科されるだろうとホワイティングは話している。
■無線の規制を歓迎する声
レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、新たな規制を支持するとイギリスの『Times(タイムズ)』紙に話した。
「ドライバーはコックピットに乗り込んだら一人でやるべきだ。ピットストップや安全面などについては伝える必要がある。だが、ほかのドライバーがどこでコンマ1秒速いとか、どのギアを選ぶべきだとか、そういった助言はいらない」
「ドライバーがドライブすべき時がきたのだ」
また、4度のF1チャンピオンであるアラン・プロストもこの変更を歓迎している。
「F1は補助されすぎて簡単になり、ドライバー以外の人間にコントロールされていると思われかねない」とプロストは理由を説明している。