ケータハム元オーナー、トニー・フェルナンデスが沈黙を破り、F1チームを売り払って「ホッとした」と、その心境を打ち明けた。
マレーシアのLCC(格安航空会社)エアアジア経営者として知られるフェルナンデスは先ごろ、英リーフィールドに本拠を置くケータハムを謎のスイス系中東投資家グループに売却。現在、チーム運営はコリン・コレスとクリスチャン・アルバースの二人が引き継いでいる。
「ほんとうに肩の荷が下りたよ」と、彼はイギリス『The Independent(インディペンデント)』紙に話す。
「トライ・アンド・エラーはビジネスに付きもの」という50才の実業家フェルナンデス。現在はエアアジアを始め、英サッカークラブのクイーンズ・パーク・レンジャーズ、四輪下位カテゴリーのGP2、さらに二輪のモト2チーム運営に集中している。
F1では、数々の「やってはいけないこと」についてノウハウを学んだという。
もっと真剣にケータハムに取り組めばよかったと、自らの失敗を打ち明けるフェルナンデス。さらに、チーム名を巡ってロータスと揉めたのも「大きな痛手」だった。
「誰にもいわなかったが、あの一件で、F1は何と汚く執念深い人々が集まるスポーツだろうと思った」
「その後、チームは前進らしい前進もせず、多大な投資も功を奏さなかった。そこからが困難の始まりだ」
マックス・モズレーFIA(国際自動車連盟)前会長が方向性を示した小規模チーム向けの経費削減策は日の目を見ず、「大チームを除いて、みんな苦しんでいる」と語るフェルナンデス。
「どのチームも協力を口にするが、実行に移した試しがない。もう手を上げて宣言するしかないよ。”降参です。これ以上続けられません”ってね」
バーニー・エクレストンからクイーンズ・パーク・レンジャーズを買い取ったフェルナンデスは、サッカーのビジネスモデルに触れて目も覚める思いだったという。
「トップだろうが最下位だろうが、どのクラブも生き残るだけの金を得られる。それが(サッカーとF1の)大きな差だよ」と、フェルナンデスは話す。
「(サッカーのほうが)風通しはいい」「みんな運命共同体なんだという認識が浸透しているね」