F1イタリアGP(7日決勝)の出走が決まった小林可夢偉(ケータハム)が、第12戦ベルギーGPでシートを奪われてからの心境を4日(木)にモンツァで語った。
■ベルギーGPでのシート喪失
ベルギーGPでは、日本のスーパーフォーミュラに参戦しているドイツ人ドライバーのアンドレ・ロッテラーが可夢偉に代わってスポット参戦した。チームにスポンサーを持ち込んだのがその理由と見られている。
可夢偉は、チームからこの決定を聞かされたときの様子についてこう振り返った。
「あの時も水曜日だったと思います」
「ファクトリーにいてシミュレーター作業をしていたら、昼頃に、スパではレースに出られないと言われたんです」
「スパには行ったけれどコースには行きませんでした。ホテルにいたんです。パドックで問題を引き起こすよりいいですからね」
「いろいろなことを質問されていたでしょうね。でも、なぜレースしていないのかと聞かれても僕にも答えようがありませんでした」
■突然のイタリアGP参戦要請
イタリアGPについては、スペイン人のロベルト・メリが出走すると見られていたが、FIA(国際自動車連盟)からF1参戦資格であるスーパーライセンスが得られなかった。また、ロッテラーは金曜のフリー走行に出られないことを理由にオファーを断った。
いつモンツァに来るように言われたのかと聞かれた可夢偉は、「昨日(3日)です」と答えている。
「東京にいました。本当にぎりぎりだったんです」
可夢偉も、現在の状況を喜んではいない。
「難しい状況です」
「まず何より、僕にとって関心があるのはレースです。僕はレースがしたい。でも、この数週間の出来事はスポーツとはあまり関係ないことです。政治的な決断だったんでしょう」
「僕たちは弁護士と交渉しなければならないほどでした。本当に難しい状況ですよ」
「チームは難しい立場に立たされていると思います」
「ニュースを見て、よく分かりましたよ。ロベルトが1回目のフリー走行に出る。それをアンドレはよく思わなかった。だから僕に電話してきたんです」
ロッテラーのように断ることは考えなかったのかと聞かれると、可夢偉はこう答えた。
「契約がありますから」
「シミュレーター作業をしろと言われれば、シミュレーター作業をする。家にいろと言われれば、家にいるしかないんです」
■将来に向けて「別の選択肢を考える必要がある」
ハッピーかと聞かれた可夢偉は、「ハッピーか? いいえ。でも、ほかにやりようがないですから」と答えている。
「良い関係を保つよう、できる限り努力しています。チームは生き残るためにこういう状況を引き起こさざるを得ないのかもしれません」
ロシアからの支援を得られるメリをイタリアGPのフリー走行に出走させてスーパーライセンスを取得し、シンガポール以降は可夢偉のシートをメリに与えるというのがケータハムの計画のようだ。
可夢偉は将来について、マネジメントと共に別のビジョンを考えていると話している。
「もちろん別の選択肢を考える必要があります。自分たちに何ができるかやってみるべきですよね」
「まずトップチームがドライバーを選んで、残りのチームが決まるのはそれからです」