”シリー・シーズン”と呼ばれる来季ドライバー市場。毎年、F1イタリアGPの前後を頂点にうわさが数多く飛び交う。ところが今年、モンツァを一週間後に控えて、珍しく一寸先は闇の状態だ。
大物ドライバーや主要チームに大規模な移籍はあるのか、まったくないのか謎である。
ドライバー市場をドミノ倒しに例えれば、最初のコマに指を乗せているのは来季ホンダを迎えてワークス体制を構築、2015年に臨むマクラーレンだ。
そのコマとは、ジェンソン・バトン(マクラーレン)。マクラーレンはF1最古参の34才、バトンを高く評価しているが、必ずしもルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)のような超大物クラスのドライバーではないのも分かっている。
ただ、上記の全員が現所属チームと来季の契約を結んでいる点が問題だ。
従ってマクラーレンは待ちの姿勢を崩さない。
マクラーレン・ホンダほどの強力コンボがほんとうに誰かひとりを引き抜きたいのであれば、契約の網をかいくぐってでも獲得できるのではないか。チームCEOは「どうかな」と、F1公式ウェブサイトで次のように語っている。
「それは、彼らドライバーの契約を尊重するかどうかによるよ。私は尊重する」と、デニス。
仮にニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)が2015年のゼッケン1番を付けることにでもなれば、デニスの元弟子ハミルトンがチーム残留を拒むのは想像に難くない。
「いま、あそこ(メルセデスAMG)はチームといえない」とオーストリア『Servus TV(セアヴスTV)』に語るのは、マーク・ウェバーだ。「彼らが2015年も同じチームに収まって、大丈夫かな?」
メルセデスAMGを率いるトト・ヴォルフも今週、ハミルトンとの契約交渉がストップしていると認めていた。
「この段階にきて何かと厳しい状況にある」と語るヴォルフ。「従って今はこのままシーズンに集中すべきだ」
「ひとつ確かなのは、どのような形でルイス(ハミルトン)と仕事を続けられるかはっきりするまで、他のどのドライバーとも話はしない」というヴォルフだった。
それなら、他のふたりはどうか。ダニエル・リカルド(レッドブル)にすっかりお株を奪われ、ベッテルはおもしろくないはずだ。アロンソとベッテルについて質問されたデニスは、彼らに対する興味を否定しない。
「先ほどもいったが、われわれは常に、契約可能なドライバーのなかから最高の人材を視野に入れている。それでも、彼らがドライバー市場に打って出てくれないことにはね」