レッドブルの将来を担うのはマックス・フェルスタッペンとダニール・クビアトのふたりだ。
16才のフェルスタッペンと20才のクビアトは来季、レッドブルの姉妹チーム、トロロッソでコンビを組む。
ドライバー選考の責任者ヘルムート・マルコ博士は、いまから興奮ぎみだ。
「ダニール・クビアトはここまで、ほんとうによくやっている」と話すマルコ。チームメートのジャン-エリック・ベルニュは、注目の新星フェルスタッペンにシートを明け渡すことになった。
「ベテランのドライバーはよけいにアクセルを踏み込まないとダメだな」と、マルコは手厳しい。「F1の経験があるからといって何も保証はないんだ。若いのがどんどんF1に上がりたがっているからね」
今までレッドブルの頂点に君臨してきたのは四度の世界王者、セバスチャン・ベッテルだが、今季はパッとしない。
童顔のベッテルも今では27才。しかし、さすがのマルコも彼について悪くはいわない。
それどころか、今季のベッテルに対する批判は「そのほとんどが誇張され、不当なものだ」と、同情的だ。
「(批判する前に)不振の理由を知るべきだ」と、20日(水)発行のドイツ『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』誌最新号で語るマルコ。
「ベッテルについては主に、著しく信頼性の低いマシンのせいだ。マシンが順調なときは、彼の方にツキがない」
「去年から腕が落ちたなんてことは断じてない」というマルコ。それどころかベッテルは、8月の夏季休暇を経てしっかりと「再充電」して戻ってくると太鼓判を押す。
同時にレッドブルは将来の布石も打っている。
2015年にF1デビューすることになったフェルスタッペンのために、これから綿密な準備が計画されるのだ。もしかしたら、今季中に金曜フリー走行に参加させるかもしれないとマルコはいう。
「参戦中のヨーロッパF3は、ちゃんとシーズン終了まで続けさせる」と、ドイツ『Speedweek(スピードウィーク)』に語るマルコ。「だが、フォーミュラ・ルノー3.5(シリーズ)も走ってもらおうかと考えている。それと、例えばオランダ・ロッテルダムで行う市街地F1イベントのドライバーに任命したりね」
「マックスに2015年の準備をさせるなんて、いくらでも方法はあるものさ」
マルコによると、「コンディションがコロコロ変化したノリスリンクの極めて難しいレース」のフェルスタッペンを見て、レッドブルの総力をあげて彼と契約しなくてはと考えたという。
「マックスは他の誰よりも2秒速かった。そんなドライバーに、下位カテゴリーでもう一年経験を積ませるかどうか、議論の余地はないだろう」
「彼はF1に上がる準備ができている」
有名な元F1ドライバーのヨス・フェルスタッペンを父に持つ当の本人も、マルコと同意見だ。
「ほかのすべてと同様、今回も同じステップを踏むよ。油断なく、かといって慎重になりすぎずにね」
「カートからF3へのステップアップがあまりに容易でビックリしたんだ。レッドブルリンクでフォーミュラ・ルノー3.5をテストしたときも感じたよ」
「10周したら、もう慣れてしまった」
「いちばん大きな違いは馬力だろう。F3はだいたい250馬力だ。対するフォーミュラ・ルノーは450馬力。ところがF1ときたら800馬力だからね」
ところでマルコは、今季不振のルノーとともに、2015年こそレッドブルにとってよりよいシーズンになると自信を見せている。
「彼ら(ルノー)が行ったリストラは適切なものだ」と、マルコ。「われわれは今、連携をきわめて密にしている。2015年型マシンを共同で開発しているのだ」