F1のテレビ視聴率やサーキット観客動員数の低下について、ニキ・ラウダが対策に取り組んでいる。
夏季休暇突入を前に、今週、重要な会議が開かれる。フラビオ・ブリアトーレが率いるという、新しい「F1人気対策」委員会だ。
だが、ブリアトーレの存在に疑問を抱く者がいる。かつてF1世界選手権を3度制したメルセデスAMG会長、ラウダだ。ルノー(現ロータス)のチーム代表だった2008年、シンガポールGPで所属ドライバーにわざと事故を起こさせた「クラッシュゲート」事件の主犯としてF1を追放されたブリアトーレ。そんな人物にF1の問題解決を任せていいのかというのだ。
イタリア『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に対しラウダは、自ら描いたF1人気回復の青写真を披露する。
グランドスタンドの空席が目立ったF1第10戦ドイツGP(7/18-20)についてラウダは、十分にレースをPRしなかったうえ、入場券の価格をあまりに高く設定した主催者の責任だと指摘する。
「例えば第8戦オーストリアGP(6/20-22)だが」と、ラウダ。「主催者のディートリッヒ・マテシッツは私もよく知る手法をとった。高い入場料で席をガラ空きにするより、金額を安くして人で埋めたのだ」
すでにラウダの進言を取り入れたところもある。「バカバカしいペナルティの乱発」によるレース現場への「介入」をやめろとのアドバイスだ。
「さらに低いエンジン音の問題もある」と、ラウダはいう。「メルセデスAMGでは、もういちどボリュームを上げる施策を試みると(バーニー)エクレストンに約束済みだ。だが、真の危機は他に存在する」
「友人と海へ出かけ、iPadでF1を見る。それが今の若者だ。彼らはF1ドライバーなど英雄視しない。これは簡単に解決できない問題だ」
「だいたい、守りごとが多すぎる。誰かが白線を踏んだといっては無線でわめき立つ。マスコミへの発言は制限され、時には無言を貫かねばならない」
「われわれは、行き着くところに行った感がある」と、ラウダは主張する。